米国 NRF 2018 「小売の大変容 ーディスラプションは 今や New Normal に 」


NRF 2018 大会 会場風景

 世界の流通を展望する NRF(米国小売業協会)恒例の大会が、114日から日間ニューヨークで開催されました。今年は過去最大の36500人が参加、日本からも321名という、過去最多の参加がありました。機器やソリューション展示は 700 社を超え、同時進行する130以上のセミナーとの間を駆け回る3日間。筆者にとっては、32回目(32年目)の参加です。

 テーマは「小売のトランスフォーメーション(変容)」。今年は、昨2017年までに登場した多様なデジタル技術が、IoTやプラットフォームの形でコネクトされ、消費者にとって便利で簡単なソリューションやビジネスモデルとして、多彩な展開が進む年になると強く感じました。   (恒例の「尾原蓉子の全米小売業大会2018レポート」は、繊研新聞220日付に掲載――電子版有料購読者はhttps://senken.co.jp/ へ

 米国小売業の現状は、楽観的な景況感はあるものの、過剰売り場スペース削減による店舗縮小やSCの閉鎖縮小などから来る危機感、アマゾンの成長拡大が加速する競争とイノベーション/ディスラプションの進展に、大手も中小企業も、ネットとリアルの融合をはかりながら、顧客体験を優れたものにし、自社の存在理由と優位性の確立に、必死に戦っている感があります。

 今年の印象に残った潮流は、次の5点です。

1.   アマゾンの急拡大に対抗する大手企業の動き=自社の存在理由の再定義(ウォルマート、リーバイス、ノードストロム)

2.   デジタル技術の現場への浸透 →多様な要素技術をコネクト(特に、AIAR、画像認識、AIスピーカー、ロボットなどの技術)

3.   多様な起業家(ディスラプター)の台頭 →ディスラプションは今や、 “新しい常態”(New Normal)  

4.   ビジネスの民主化・透明化 →合理的で最適な商品開発やサプライチェーン

5.   女性CEOの新しいリーダーシップ →より人間的社会へ向けての挑戦

 これらをシリーズでご紹介したいと思います。

 ちなみにNRF (National Retail Federation=米国小売業協会)は、「2018年の小売りトレンド」 として、次の8点を強調しています。

              ① 企業M&Aのさらなる拡大=デジタルとフィジカルの融合が勝負のポイント

              ② ショールーム戦略の展開加速=小売業ビジネスのミニマリズム・アプローチ

              ③ AR(拡張現実)=2020AR経由購買は1億ドルに。顧客エンゲイジに有効

              ④ AI(人工知能)が優れた顧客体験を創造=真のパーソナル体験模索

              ⑤ 音声パワーの拡大=モバイル(スマホなど)に代わる未来のコマース手段

              ⑥ 宅配の効果的手法の開発=サプライチェーンと収益性の圧迫の解決策

              ⑦ 顧客を陶酔させるビジネスを=ユニークな体験、透明性、買物の苦痛削除

              ⑧ 予想外の相手とのコラボ

 次回は 「アマゾンの急拡大に対抗する大手企業の動き」 です。

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  明けましておめでとうございます。


2018年 明けましておめでとうございます。本年が皆様にとって、素晴らしい年になることを祈っています。今年もどうぞよろしくお願い致します。

今年の元旦は、いつもにもまして、新しい年への期待感と、変革への焦燥感があります。

 恒例のNRF(米国小売業協会)の大会は114日から始まりますが、今年のテーマは、“小売りのトランスフォーメーション”、AI や  IoT 、ARなどの多様なテクノロジーがいよいよ実行されビジネスが大変革を遂げる年、としています。

 ひるがえって、今年の干支は「戊戌(つちのえ いぬ/ぼじゅつ)東洋思想の権威、田口佳史氏の解説によれば、「『戊』は茂です。例えば樹木が茂るのは一見良いことのようですが、見方を変えれば日当りや風の通りが悪くなり、奥の方では葉や小枝が枯れてきて、その末その樹木自体の生命力にも影響をする事態になります。したがって、一見隆盛繁栄に見える企業も、奥へ分け入ってよくよく検査をすれば、旧態依然とした考え方、行い方、慣習、などがいまだ残っている事も多く、そこから来る弊害、特に改善意欲の無さから来る事なかれ主義の増長など、致命的になりかねない病根が見受けられることになります。」 「『戌』も同様に茂と同意義で、とかく枝葉末梢が茂りすぎて、根本を傷めることを意味します。したがって今年こそ、枝葉末梢、無駄や過剰などを勇気をもって伐採し、先行きを想定して剪定をし、根に養分が充分にまわる様にすること。」とのことです。(田口佳史氏ブログ http://www.tao-club.net/blog.shtml より)

 この2つの考え方を踏まえて、あらたな企業体制、ビジネスのしくみを組み上げるのが、今年の課題だと私は考えています。ちょうど1991年にバブルがはじけた頃、“リエンジニアリング”(企業を根本から変える業務革新=顧客にとって価値を生まない活動を徹底的に削除し、あらたなビジネスプロセスを組み上げること)の必要性が盛んに言われました。今、喫緊の課題とされるビジネス変革は、これと同じ方向性のものですが、大きく異なるのは、デジタル・テクノロジーの爆発的発展です。安価に、また使いやすくなったテクノロジーを活用して、他社とのコラボレーションやプラットフォームを構築し、大企業ばかりでなく中小企業も成功(すなわち価値創造と個客満足)を実現できる年だと思うのです。

 無駄のない美しい形の富士山と咲き乱れる花々。こんな年になればと願いつつ、新年の想いを書きました。
 今年のNRF大会は、例年以上に厳しい寒さの中、ニューヨークで開催されます。このコンベンションには1986年から参加しており、今年で33回目の参加(1年も休まずの連続参加)です。

 次回はその報告をアップする予定です。

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< サステイナビリティとエシカル精神が、ファッション・ビジネスの未来を創る >


 国連が提唱する SDGs(エスディージーズ)が世界的に注目されています。SDGsは、「持続可能な開発目標」 Sustainable Development Goals)の略称で、20159月国連総会で採択された、『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』 による 17項目の具体的行動指針です。向こう15年の、新たな“持続可能な開発の指針”であり、ダボス会議(世界経済フォーラム)でも、大きな議論を呼びました。

 ファッション・ビジネスもいよいよ、サステイナビリティやエシカルといった、地球と人間にやさしい精神と行動、成果を上げなければ、人々に愛される企業、あるいは産業になれない時代になりました。

  WEF11回目の公開シンポジウムは、この視点から未来を見据え、

 『FBの未来に欠かせないエシカル精神とは-サステイナビリティ志向の思いやりと透明性-

のテーマで、12月12日夜に開催します。 詳細は→ http://www.wef-japan.org/event/1035.html

 講師には、慶応大学の蟹江憲史教授 (自らの研究会でSDGsプラットフォームを立ち上げ、SDGsが向かう道筋を模索している方)、サステイナビリティの先駆企業である米国パタゴニアの日本支社長 辻井隆行氏、そしてオーガニックコットン事業の草分けとしても著名な社会起業家である㈱アバンティ の 渡邉千恵子社長を迎えます。最後にWEF理事の生駒芳子氏の司会で、3者のパネルディスカッションも行われます。

  ファッション・ビジネスは今大きな変容を迫られていますが、それを促す4大潮流は:

1.  人々の意識と価値観、行動の変化

2.  テクノロジーの膨張(特にデジタル・テクノロジー:AI、AR/VR、IoT、3D印刷など)

3.  ビジネスのグローバル化と巨大な新規市場の成長

4.  企業の社会的役割の増大      

これらは『Fashion Business創造する未来』 (尾原蓉子著)の第一部 第2章で取り上げた巨大潮流ですが、このうち、1 、3 は、既にファッションのビジネスにも明解に表れ始めています。

 しかし、4 番目の「企業の社会的役割の増大」については、まだ、特に日本では、関係者の意識が非常に希薄です。これは、これまで言われてきたCSR(企業の社会的責任=Corporate Social Responsibility)の域を超えた、多方面(後述のように国連のSDGsでは、17の領域)での企業の良心に基づく行動への要請なのです。

  ファッション産業は、地球への負荷が 2 番目に大きい産業といわれます。流行を無作為に追い、売れなかったものは廃棄する、の繰り返しは、もはや許されなくなってきました。また時代は、ファッションに限らずあらゆる産業に、「利益追求だけではなく、社会の問題を解決する、あるいは、地球や自然の保全を意識し、持続可能なビジネスを構築する」ことを求めています。倫理的で人にやさしいビジネスであることも、です。

 SDGsが採択した17の行動指針とは、次のようなものです。

1.   貧困をなくそう

2.   飢餓をゼロに

3.   すべての人に保健福祉

4.   質の高い教育をみんなに

5.   ジェンダー平等を実現しよう

6.   安全なトイレを世界中に

7.   エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

8.   働きがいも経済成長

9.   産業技術革新の基盤をつくろう

10. 人や国の不平等をなくそう

11. 住み続けられるまちづくり

12. つくる責任つかう責任

13. 気候変動に具体的な対策を

14. の豊かさを守ろう

15. の豊かさも守ろう

16. 平和公正をすべての人に

17. パートナーシップで目標を達成しよう

 企業はこれらのうち、取り組めるものから始めることを期待されています。ユニクロを展開する日本の先進的企業ファーストリテイリング社では、2016年から4つの目標を掲げていると聞きます。ちなみに、ZARAなどで世界展開をするスペインのインディテックス社は、全項目の達成を目指しています。  世界経済フォーラムの2017年3月20日付の発表によれば、2015年時点の算定値からの進展が大きい国は、149カ国のうち、1位がスエーデン、2位がデンマーク、3位ノルウェーと北欧勢が占め、ドイツが6位に入っています。日本は18位でした。

 SDGsの目標は、遠大です。しかし今から始めなければ、ファッション・ビジネスの未来はないでしょう。心ある企業の積極的取り組みに期待します。

WEFのシンポジウムにも、是非お誘い合わせてご参加ください。

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