<NRF2016 リポート ⑤ 「Xmasギフト商戦、オムニチャネル能力テストの結果は?」>

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 米国のオムニチャネル進捗シリーズの前回から、ずいぶん間が空いてしまい、恥ずかしく思っています。

 今回は、小売り企業はオムニチャネルの約束を果せているか、について 興味深いリポートを紹介しましょう。 オムニチャネル実践を標榜する企業は、「即日あるいは 1 時間配達サービスの拡大、検索のスピード化(3回クリックで目的達成)、パーソナル化した提案の増加」、などに努力を続けています。しかしその実現は、なかなか容易ではないことが分かります。

 「Xmasギフト:オムニチャネルは実働したか?」のタイトルでレポートをアップしたのは Internet retailer 2016.2.1)です。

 同社のエディター、アリソン・エンライト記者は、小売り企業が宣伝している、“Xmas 3日前までなら、いつでも、どこでも、好きな時にギフトを買える” は本当か? を3つの案件でテストしました。 言って見れば「オムニチャネル能力テスト」 です。

 記者は、課題として、① 婦人用ハンカチの購入(友人向け)、② SmartWool ブランドのソックスの購入(父用)、③ 母用には、アイディアさがしからスタート、を設定しました。記者自身の買い物は2週間前にほとんどアマゾンで完了していたのですが、業務として、オムニチャネルのテスト課題に挑戦したわけです。

 課題の内容は、下記を3日間で完成させることです。          

           1.欲しいものを見つける(ウェブまたはアプリで)

           2.オンライン発注・店舗ピックアップの指定

           3.走り回ってピックアップ

 対象小売企業は、Nordstrom, Macy’s. Wal-Mart Storesのネットサイト。

 結果は、次のようになりました。

① ハンカチ――スマホ・アンドロイドでまず Macy を検索、結果はゼロ。ノードストロムでは大昔からのブランドが1つのみ。ウォルマートでは、無地モノ 2点 が見つかったが、Xmasに間に合わずダメ。 そこで、予定にはなかったアマゾンで検索。結果の 5,000点のうち、Prime 配送に絞ると 850  の選択肢が得られた。そこで、6枚 $10.99 の柄物を選択。

 SmartWool ブランドのソックス――以前に買った経験がある Nordstrom REI をオフィスの PC で検索。ノードストロムで 6点上がってきたが、希望するシカゴ店でのピックアップが出来ないのでダメ。REIも同じ。Macyとウォルマートではそのブランドの扱いなし。またまたアマゾンをチェック。望むサイズの Prime  配達で 118点 の選択肢が上がった。しかし、課題はそもそもアマゾン・チェックではないので、この課題については放棄。

 母用、アイディアさがし――これは、商品指定をしないので簡単、と思ったが、非常に苦労した。とりあえず Macys.com に入って、まずジュエリーへ。手間がかかりそうだったので化粧品に移動。母が好きなエステ・ローダーの Beautiful を探すと、12 点が上がった。さらに“pick up in store”を“ シカゴ店”、で9点に絞り込み、その中の30周年記念企画商品に決めた。ところが商品説明の詳細を見ると、これは、「ウェブからの配達」と。改めて郵便番号を入力したが、これにはイラついた。

 というレポートです。

 この3社は、米国でもオムニチャネルを強力に推進している 3大小売業です。皆さんの評価では、何点を上げますか?

 ここから学べることは、「オムニチャネル企業の約束は、商品数、配達条件が多様化し、顧客のスピード検索、スピード購入への要求が加速するなか、並大抵のことではない」 ことです。                                                                                                            

(次回は、「顧客」 と 「企業」 の関係の革新、について考えたいと思っています。)