リーダーシップ・シリーズ①の先回のブログ、<女性には〝管理職”よりも〝優れたリーダー″になってほしい>で、〝リーダー″と〝管理職″の意味と役割の違いについて述べました。
「管理職になる」というのは、組織を前提とした昇進であり、組織が期待する「目標達成」(予算達成や事業推進など)を行うことです。しかしパラダイムが大きく変わるこれからの時代には、「従来を踏襲する目標の達成」よりは、これまでなかった「新しい価値の創造」 あるいは 「こうありたいと描く夢や目的」 を実現することが非常に重要性になります。ここでは、〝管理する人″よりも〝チームを引っぱって新たな価値やビジネスを生み出すリーダー″が必要です。
また、女性にとって〝リーダーになること″は、〝管理者になること″よりも、女性の適性や能力にフィットしている、と私は考えています。よって、WEFの狙いも、〝リーダーの育成″にしています。
WEF(一般社団法人 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション)の中核プログラムに 「キャリア・フォーラム(全5回シリーズ)」 があります。毎年第1回は会長である尾原が講師をつとめます。
今年の第1回(5月30日)テーマは、
『ファッション・ビジネスと女性のキャリア -10 年後の貴女をどう創る?― キャリアは自ら創るもの:一度限りの人生をどのように全うしたいですか? ― 』
ワークショップと懇親会も大いに盛り上がって、楽しい会でした。 (WEFホームページご参照→ http://www.wef-japan.org/activity/984.html )
その重要課題が、「優れたリーダーになる5つの条件」で、これをもとに、グループに分かれたワークショップも行いました。
<優れたリーダーになる5つの条件>とは
1. ビジョンがある――予算や業務の達成ではなく、〝ここに行きたい!″といった展望や夢をもっていること
2. 人の話に耳を傾けることが出来る――単に〝意見を聞く″のではなく、訴えたい想いなどを全方位で聴く
3. 自分の考えをコミュニケートすることが出来る――コミュニケーションとは〝伝える″だけではなく〝理解してもらう″こと
4. 人をインスパイア(鼓舞・鼓吹)する力がある――人を〝自分もやってみたい″とモチベートしエンパワーする
5. 勇気がある――既定路線にない変革への取り組みは、海図なき航海。〝失敗を恐れない勇気″が不可欠
これらは、ハーバード・ビジネススクールで学んだ時に、最終週の講師として来校した世界的企業のCEO(経営最高責任者)5人への私の質問、「優れたリーダーとは?」 への答えの共通項をまとめたものです。
ワークショップでは、この5条件に付き、次のような議論をしてもらいました。
1) 自分が身につけたいと思う、最重点の項目は 何か?
2) グループで、最も必要だと合意した項目を1~2選択し、それについて、
① なぜそれが、最も必要だと思うか
② 各自の体験(成功体験・失敗体験など)をシェアする
③ それを身に付けるには、どのような方策・手段があるだろうか?
参加者の議論の詳細を紹介することはできませんが、最重点の項目では「ビジョンがある」を上げたグループが最多でした。「リーダーとして最も必要な要素であり、こうなりたいと思うものを明確に掲げることでチームが同じ方向性に向かって動ける」 からだと。また、「人の話を聴くことも、自分の考えをコミュニケートできる、も、チームをインスパイアする、も、勇気がある、も、すべて 『ビジョンを描き、実行するために不可欠なもの』 だから」との意見もありました。
「人の話を聴くことができる」 を最重点項目に挙げたグループでは、〝上司と部下の話を繋ぐことは、当たり前だがなかなかできない重要なこと。時間と場を作って意識的に行なうことが大切。すべての人へ感謝の気持ちを伝えていくことが、コミュニケーション力のコアとして作用できる″の発表もありました。
「自分の考えをコミュニケートできる」 については、失敗例として、〝言い方がキツクなることがある。方策としては、練習になるような場の設定が重要。小さなことでもよいので自発的に投げかけていき、双方の歩み寄りを大切にする″のコメントがありました。
「勇気がある」 は、〝最も必要な根本的な要素であり、『やる(行動)勇気』 が必要。それを身に付けるには、『判断の基準』 を設定するために学び、失敗を怖がらないことが大切″との発表に、聞いている方も勇気づけられました。
次回は、アメリカでの 「同時多発テロ」 という歴史的危機に際して、リーダーシップをフルに発揮したニューヨーク市のジュリアーニ市長について、書きたいと思います。