米国では、アマゾン急成長とEコマースの拡大が、店舗閉鎖を加速し、業界再編成が進みつつあります。その中で元気づけられるのは、リアル店舗が、顧客にフォーカスしたデジタル支援で、新たなパワーをもちはじめたことです。
NRF報告第3弾は、 “アマゾン支配に立ち向かう店舗小売業:店舗のパワーアップとECの一体化” について書きます。
ネット販売の拡大と、アマゾンが次々に打ち出す宅配の革新やPBの強化、プライム会員顧客の囲い込み、エコーなどの音声アシスタントが、店舗小売業を大きく圧迫する中、2018年も多くの店舗が閉店しました。その数は6000店とも 8000店ともいわれており、シアーズやトイザらスの倒産も象徴的です。今年1月早々には、一時期、ニューヨーク五番街でファッションのシンボルであった老舗ロード&テイラーが104年にわたる歴史を閉じ、華やかだったヘンリ・ベンデルも、123年の歴史にピリオドを打ちました。今月(3月)に入っては、Gapが2年間で230店舗を閉鎖する、と発表しています。
しかし2年ほど前から盛んに言われた、『小売りのアポカリプス(黙示録)』 (小売りの最後の日が来る、の意) については、今年のNRFでは否定的な発言が多く出されました。店舗の閉鎖も、今年で底を打つだろうというコメントもありました。その理由は、危機感を持った革新的小売の施策が、実効を出し始めたことにあります。アマゾンに破れるのではないか、と懸念されていたウォルマートやターゲットが取り組んでいる抜本的改革が、明るい光を差し込んだ、と感じるからでしょう。最終的な勝ち負けの決着は予測できませんが、店舗を持つ企業が、「店舗こそが最大の競争優位」の姿勢を鮮明にして動き出し、その成果が見えはじめているからです。
NRF2019で特に注目されたターゲット CEO ブライアン・コーネル氏(画像)の基調講演から、同社の2017年以降の戦略と実践を紹介しましょう。
基調講演のテーマは 『もっと店舗に:ターゲットはゲストと未来に投資する』 でした。