「“FBにおける留学”セミナー③ 最大の収穫は、自立、自信 <キャリアと留学ー7>

Pocket
LINEで送る

「ファッション・ビジネスにおける留学」セミナーのFIT卒業生によるパネル・ディスカッションでは、伊藤弘子氏(HISUIデザイナー)、布矢千春氏(ジャーナリスト)、村上 潤氏(オンワード・カシヤマ・シンガポール社長)およびモデレーターの江草未由紀氏(住友商事ブランド事業部課長)が、自身の体験をもとに、留学のきっかけや意義、現在のポジションに至った経緯、そして後輩へのアドバイスなどを述べ、大いに盛り上がりました。テーマは「ファッション・ビジネスのキャリアにおける留学の意義」です。

具体的な内容は、日本FIT会のホームページ http://fitkai.jp/fitkai/author/admin/ を是非ご覧ください。

特に私の印象に残ったことは次の4点です。

1.留学の「最大の収穫」――パネラーの方々が強調したのは、「自立。自己表現に対する自信が出来た」「どんなことにも物おじしない姿勢や度胸と責任感が身に付いた」「海外慣れしたことで、現地人の目線で、また自然体で外国人に対応できるようになった」、でした。いずれもFIT卒業生全員に共通することだと思いますが、これらのコメントが、例えば「自己表現に関する自信」がクリエ-ターとしての起業につながった伊藤さんの言葉であること。また「物おじしない度胸と責任感」は 「精神的・物理的な自立」をめざしジャーナリストになり世界を駆け巡っている布矢さんの言葉。また「自然体で外国人に対応できるようになった」は、若くしてオンワード樫山のシンガポール支社を任された村上さんの言葉であることを考えると、感慨深いものがあります。

2.「留学に失敗は無い。迷ったら留学を」――セミナー全体のメッセージとも言えるこの言葉は、留学に踏み切れないで居た学生さんや若い業界人たちを、大いに元気づけようでした。アンケートでも「留学を決断出来た」との声が何人もありました。

3.「若者たちが海外に出たがらない」のマスコミ報道は鵜呑みにすべきでない――このセミナーの参加者を見る限り、日本の若者が非常に意欲的でたくましく、真剣に自分のキャリアと留学を考えている人が多い事に、将来への期待が膨らみました。日本全国が平均的に「内向き志向」なのは残念ですが、リーダーになる人がグローバルなキャリアを目指して飛躍成長してくれれば、日本全体を引っ張ることが出来ると信じています。 

アンケートの声を拾うと、「留学で可能性がすごく広がることが分かった」、「留学によって、どのように自分の強みを獲得出来るか分かった」、「若い時の留学体験が、現在の各人の出発点となっている事や、その後の各々のキャリアパスに感銘を受けた」、「皆さんプロなのでオーラが違った。まさに自分がやりたい事をしている人からの話しで、それを聞けて良かった」など。また、「苦労も多かったけど、留学して本当に良かった」との実感が言葉の端々に出てくるパネラーへの、感動と賞賛の言葉も多くありました。 

総括すると、やはり冒頭の『自立』に集約される」――コーディネーターの江草さんの纏めの言葉には、重みがありました。パネラーは、いずれも優れたキャリアを築いている人達ですが、だれもが『自立』を元に、留学していなければ得られなかったチャンスをつかみ(それかチャンスだと見極める直観力も外地でもまれながら身につけて)キャリアの発展につなげたことがうかがわれます。

このセミナーを開催して本当に良かったと思ったことでした。

(次回は、ファッション・ビジネスの新しい常識「ニュー・ノーマル」)