FITのGFM(「グローバル・ファッション・マネジメント」)コースが非常にユニークなものであることは再三のべました。 それではこのコースから 何を学べるのか?
それは、このコースの狙いである、「新しい時代のファッション企業幹部の育成」です。つまり、ますますグローバル化が進み、変化のスピードが加速し、競争が激化し、テクノロジーが重要になるなかで、消費者の高度な期待にこたえるために、ビジネスの新しいモデル構築を含め、企業エグゼクティブあるいは幹部が身につけねばならない能力を、他の大学に先駆けて開発し、磨こうとしている点です。
日本のファッション・ビジネスの教育が、このFITのGFMプログラムから学べることをあげてみます。
1.グローバルなカリキュラム = 世界の3都市(ニューヨーク、パリ、香港)での集中講座で異なる文化や商慣習に触れ、また地域の特質やビジネス上の強みを学ぶ。 また、世界各地から集まる多様な学生のミックスによるダイバーシティ (留学生の比率は35―40%。これまでの留学生の出身国は、イタリア、オーストラリア、イスラエル、韓国、インド、ジャマイカ、バングラデッシュ、中国、ギリシャ、シンガポール、メキシコ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、ウルガイなど)
2.トップ・エグゼクティブ育成をめざす講座編成 = ビジネス全体をマネジメントする為に必要な能力の開発 (マーケティング、マーチャンダイジング、マネジメントはもちろんだが、業界・ビジネス構造の変化、財務、知財権を含む法務、生産、サプライチェーン、ソーシャル・メディアなどの新コミュニケーション手法等)
3.リーダーシップ醸成 = 多様な人種構成のグループ・ワークとコミュニケーションを通じて
4.現場・実務重視 = 仕事を続けながら学べるカリキュラム編成
講師や事例は実際の企業から。多様なフィールドワーク
5.入学選考 = 本人の問題意識と意欲、知的レベルの重視
FITは、2020年へ向けた「戦略ビジョン」を策定し、かねてからの「業界との密接な連携」と「一般教養の重視」という2大基本方針の一層の強化を図っていますが、そのために「未来の教授陣」に求める5つの資質を明確にしています。
Faculty of the Future と題したこの戦略が重視する 「教授陣の資質」 は下記の5点です。
1.グローバリズム =「世界市民」をつくる能力
2.指導構想力 =未来の学生が必要とするものを想像し、組み立て、コミュニケートする能力
3.学びを豊かにする =学生に学びに関する情熱を持たせ、学生をひき込み啓発する能力と態度
4.プロフェッショナリズム =業界活動の新たな変革を含む専門知識と能力
5.テクノロジー =自分が指導する分野の技術用語や手法に明るいこと。
人材育成は、日本でも最重要課題とされ、事あるごとに取り上げられますが、従来の「知識偏重」、「正解あり」の学び方からの抜本的脱皮は進んでいません。
とすれば、成長をめざす若者は、ダイナミックな変化が進行している海外に出て、こういった教育機関で学ぶことが非常に有効だと考えるのです。
日本を出て、海外で自らに磨きをかける、そういった若者が増えることを心から期待しています。 ユニクロの奨学金に挑戦される方にも 大いなるエールを送ります。