<全米小売業大会 (NRF)2013報告 ①  ファッション小売に 『革命』 が起きている>

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 世界最大の小売業のコンベンション、全米小売業協会(National Retail Federation)主催の第102回大会が、1月13日から4日間開催されました。  テーマは

"NEXT.→ To Discover, To Engage, To Succeed” ーー「次へ! 発見・エンゲイジ・成功のために」。 

私が捉えたメッセージは 「ファッション小売に 『革命』 が起きている」です 。 そのエッセンスをシリーズで取り上げたいと思います。 (写真はNRF大会の会場風景) 

  『革命』 ととらえた理由は、この大会の専門家や業界トップによるセミナーで、急速に変化するビジネス環境を 「小売革命」、「消費者革命」などと強調する講師が多かったからです。

  『革命』 の中心はモバイル。つまり、スマホやタブレットを常時携帯することで消費者が獲得した、「欲しいものを、何でも、いつでも、どこからでも、情報収集し、友人等とシェアし、購買するかしないかの判断をし、購入した後もその体験や感想をツイートする」  時代の到来です。これまで企業が課題として来た「顧客セントリック」を、顧客自身が自ら実行する環境が組み上がったのです。

  NRF大会を支配したトピックの「スマホ」、「ソーシャル」、「チャネル融合(オムニチャネル)」、などを通して見える潮流は何でしょうか? それは、ウェブやクラウド、ビッグデータなどを含むデジタル革命が構築した巨大な ICT の世界。 と同時に、それらがモバイルやソーシャル・メディア等により、中小企業は勿論個人までもが、低コストで活用できる環境です。

NRF 2013 の概要 

  本論に入る前に、NRF 大会について、説明しましょう。通称  BIG SHOW  と呼ばれる NRF 大会は、全米小売業協会(National Retail Federation)が毎年1月にニューヨークで開催する世界最大の小売コンベンションで、アパレルやマーケティングなどの関連業界も参加します。今年の開催は1月13日-16日。参加者は過去最高の27,600人。海外からの参加も年々増え、ことしは最多国ブラジルの1,736人を含め、70カ国超(アフリカ諸国も)。展示場では500社に及ぶIT関連のシステムや店舗関連機器などの新製品が紹介され、セミナーも4日間にわたり 125のセッションが開催されるという、大掛かりなものです。日本からの参加は、展示企業や報道陣を含めても88名にとどまり、例年の事ながら残念でした。

恒例の注目企業の受賞は、大賞をアマゾン創業者ジェフ・ベゾスCEO、国際賞をヨガ・ウェアでコミュニティ作りを理念とする新タイプの小売業 Lelelemonのクリスチャン・デイCEO、イノベーション賞をクロックス社が受賞しました。アマゾンのベゾス氏は、書籍のネット販売会社として1994年に同社を創立、「世界で最も顧客セントリックな会社になる」をミッションに、20年足らずで世界最大のEコマース市場を確立し、最近ではファッションへの進出、同日配達などで話題を呼んでいます。

(次回から、NRF大会で目立った講演やパネルディスカッションのポイントを紹介します)