<FITセミナー報告 ⑥  「オムニチャネル」 は 企業の目的を明確にして始める>

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  先回は、オムニチャネルに取り組む米国の企業事例として、メイシー百貨店とメガネのワービー・パーカー社を紹介しました。   それでは、オムニチャネルに取り組むに当たって、どのようなことが重要になるのでしょうか?  まずは企業の目的を明確にすること。そして、御社に有効なソーシャル・メディアを選ぶことだと チャクター氏は強調しました。

  オムニチャネルへの移行の目的は、言うまでもなく「顧客の買い物体験を より快適で楽しめるものにする」ことにあり、その結果、企業も「売上と利益。とくに顧客エンゲイジメント」を確かなものにする事にあります。

  しかし、オムニチャネルが、「あらゆるチャネル」、「顧客から見て360度の視野」を意味するからと言って、あらゆるチャネルに取り組まねばならないということはありません。企業のオムニチャネル化の目標にもとづき、どのようなツール(チャネルの選択と、顧客とのエンゲイジメントを深めるための関連施策)を使うか、は、各企業が決めねばならないことです。もちろん、資源(資金や人材)の制約もあります。特にソーシャル・メディアに関しては、それぞれのメディアの特徴を把握し、自社にとって、あるいは自社がやろうとしている事、すなわち戦略にとって、より適切なものを選択する必要があります。図は、米国のマーケッターが選択したソーシャル・メディアを、多い順に表したものです。  最も多く利用されている順にあげると、 Facebook ( 82.4 %)、②Youtube ( 41.9% )、③Twitter ( 36.5% ) 、となっています。  (2012年 出所:emarketer.com )

   主なソーシャル・メディアの特徴について、チャクター教授の講義からご紹介しましょう。

  Facebook =ブランドの露出という点では、ブランド・ページの効果は大。顧客とのコミュニケーションの面では、ファンの引き込み、懸賞やコンテストなど、繋がるために最適。集客面では、シェアボタンでのページへの誘導は可能だが 多数のクリックは期待できない

  LinkedIn =露出という面では、個人としてのブランディング、および会社の長所の提示には 効果的。知名度強化のために、社員にプロフィール作成を推奨すべし。顧客とのコミュニケーションは、第一義的目的ではない( BtoB が中心のソーシャル・メディアのため) が、業界関連質問への解答を通して顧客とつながることは可能。ホームページへの集客は、不可能ではないが、あまり期待できない

   Twitter =露出面では、ホームページとの統合やクチコミ的に顧客と繋がる独特なチャンスを提供。 ブランドを目立たせる効果は大。 顧客とのコミュニケーション面では、会話も可能だが、ソーシャル・メディア・ダッシュボードを利用し、キーワード検索で、人が喋っていることを確認するのが効果的

  YouTube= 露出面では、面白い内容のビデオでプロモート出来れば、ウェブ上で最もパワフルなブランディングのツールとなる。顧客とのコミュニケーションの面では、楽しませ、情報を与える、あるいはブランドの提示が目的であれば、ビデオは早急に顧客をひきこむチャネルである。 集客面では、トラフィックはビデオへ繋がる。トラフィックをホームページへ戻したければ、リンクが必要。通常はビデオを見た人の数の方がホームページへの来訪者よりかなり多い。

  (次回は「オムニチャネル」をモニターするための KPI (重要経営指標)について書きます。)