オムニチャネルに取り組む際には、有効なソーシャル・メディアを選ぶことが重要です。選択は、自社のオムニチャネル戦略目標との兼ね合いで行わねばなりません。それぞれのソーシャル・メディアの特徴については、先回述べました。
(FITセミナー風景と講演するチャクター教授)
今回は、オムニチャネルの実施に当たって重要となる、消費者行動とモニタリングについて書きます。消費者行動の理解については、どのソーシャル・メディアが利用されているか、どのデバイス(パソコンか、スマートフォーンか、タブレットか、など)、ショールーミングによる購入の度合い(製品のタイプにより異なる)、ホームページへの来訪者がどこから来ているか、などを、把握することが重要です。 ソーシャル・メディアをモニターするためのツールは、「御社のホームページへの来訪者をモニター、確認、分類をする」ことと、「ソーシャル・ネットワークで御社を話題にしている潜在的顧客の抽出を可能にする」事に貢献する、とチャクター教授は言います。ここで活用されるのは「ソーシャル・ダッシュボード」です。「ダッシュボード」とは、複数の情報源からデータを集め、概要をまとめて一覧表示する機能や画面、ソフトウェアのことですが、膨大なデータを、目的に応じて、分かりやすく見やすく提示することは、顧客のモニタリングに非常に有効だからです。
また、重要な業績指標として チャクター教授は、下記の 5 点を挙げています。重要業績指標とは、いわゆる KPI( Key Performance Indicator )と呼ばれるもので、下記のために有効です。
- 企業のゴール(目標)へ向けた進捗状況を明らかにし、数量化できる手法。
- 経営者が現在の状況を迅速に把握し、速やかに行動をおこせるように、 複雑な要素を一つの指標であらわす。
- 対策として行動をとれる(ものでなければならない)。
重要業績指標として重要な 5 点は、次の通りです。
① コンバージョン率―― 来訪者に対しての購買客の割合。単純に来訪者に対するコンバージョン率を追跡するのではなく、どのプロモーションが効果的だったかを知るためにキャンペーンごとに追跡する必要がある。
② 平均受注額―― 受注に対する収入の割合。平均受注額は利益率に影響する。よって、顧客により高価な商品を買ってもらうよう、また、1アイテム以上買ってもらえるように誘い込む必要がある。
③ ビジット・バリュー ―― すべてのビジット(サイト訪問)に対する利益の割合。これは、御社のホームページに適切なトラフィックをどれだけ導いているかを計る意味で、非常に重要なベンチマークである。
④ 顧客のロイアリティ―― 新規顧客の既存顧客に対する割合。顧客が御社のホームページを一度きりの購入目的としてとらえているのか、忠実な顧客なのか、を認識する事は重要である。
⑤ 検索エンジンからの照会――業界の平均に対する、検索エンジン(グーグル、ビング)からの照会の割合。有料の検索キャンペーンのコンバージョン率の追求にも使用されるべき。
以上の重要業績指標を、常時、把握することです。
(次回は、チャクター氏が結論としてまとめた「違いを生み出すマーケッターの行動」について書きます。)