先回に引き続き、GFMのカリキュラムについて、今回は「実践的領域」とプロジェクト研究について書きます。理論と実践をバランスよく統合する、FITのGFMコースならではのカリキュラムです。
「実践的領域」がカバーするのは、下記の内容です。
1)グローバル市場のファッションへの理解――製品開発のプロセスの理解、ブランドのDNA、ライセンシング、世界市場における小売のポジショニング
2)生産管理とサプライチェーン――関税明細表の理解、マーチャンダイジング・カレンダー、アパレル企業の組織構造、 衣服のコスト構造、生地の裁断・製造、二国間協定、展示会、倫理
3)小売のグローバル・マネジメント――小売業の戦略、地理的及び物流ベースの小売モデル、効果的チームの重要性、確立されたモデル、小売環境における米国・ヨーロッパ・日本・途上国市場事例
GFMでは、これらの専門領域が、縦割り的に教えられるのではなく、座学とプロジェクトの効果的組み合わせて進められます。クラス・ディスカッションもそれらの連動と理解を深めるのに重要な教育手法となっています。
プロジェクト・ワークの中でも 「キャップストーン・プロジェクト」と呼ばれる、卒論に似たプロジェクトがあります。「キャップストーン」とは、ピラミッドの頂点に置く石の事ですが、GFMでの学びの仕上げという趣旨でしょう。
「キャップストーン・プロジェクト」の目的は ①業界の課題へのソリューションの開発、 ②第一次・第二次リサ―チの精密な適用、 ③法科大学とのコラボによる、法律の現実的ビジネスへの実践、 です。 これには、数人がグループを作って、テーマを決め、時間をかけてリサ―チ、問題の抽出、ソリューションの提言、などをまとめ、最後にプレゼンてーションの形で行います。業界審査員に選ばれた3から4のすぐれたプロジェクトは、学生や教授陣、家族や業界からの招待客、等に向けてプレゼンを行う、という名誉に浴する仕組みも、学生のモチベーション向上に貢献していると思われます。
2013年春に卒業したクラスの例を見ると、「キャップストーン・プロジェクト」のテーマは次のようなものです。
①衣服生産基地の再構築 → 国内生産への取り組み
②環境に優しい靴をコスト効果高く生産するには → エコのコストをミニマイズする
③消費財の安全性 → 安全を求める消費者の欲求にどうこたえるか?
④Eコマースのモバイル化 → ネット・ショッピングが急速にモバイル化する
⑤ラグジュアリー製品の卸販売 → フラッシュ・セールやネット販売拡大の中で生き残るには?
⑥リテールからオールテイルへ → オムニチャネル時代の到来
どれを取り上げても、いま業界や企業が取り組んでいる先端的テーマです。このような大学院コースが日本にも早く作られる事を、期待します。
(次回は、FITのGFMコースの応募資格等を紹介します。留学したい方は是非!)