キャリア

< ニューヨークの日系人会で講演して思う  ニューヨーク50年の変化 >

新年早々の、1月13日、ニューヨークで「女性実業家の会」で講演する機会をいただきました。
演題は、 『 Fashion Business―未来は予測するものではなく、創るもの』 ―日米ファッション産業の発展・成熟の50年史から未来を見る。 ーグローバル時代の日本企業と個人の課題― 。
主催は日系人会 (Japanese American Association)の「女性実業家の会」(代表・石田圭子氏)で、ジャパン・ソサエティの桜井本篤理事長も来て下さり、男性も含め100人を超える在ニューヨークのビジネス関係者が参加くださいました。「女性実業家の会」運営委員の平山幸江さん(小売コンサルタント)や、日本FIT会ニューヨーク支部長の杉本佳子さん(繊研新聞ニューヨーク支社長)のお声がけにより、FITをはじめとする大学在校生や卒業生も多く、参加者皆さんの熱意が会場に満ちあふれた会でした。参加者からも、多くの刺激やインスピレーションをもらった、と言っていただき、嬉しい、また貴重な体験になりました。(下記リンクは、講演会に関する記事)

1月21日号 「週刊NY生活」 週刊NY生活 page12 (「週刊NY生活」は日本人に役立つNYのニュースやコラムを掲載する高質のフリーペーパー。発行人&CEOは三浦良一氏) スピーチ中の尾原ビデオ: https://youtu.be/UOgwVmm4-RQ
一番感動したのは、女性がみな元気なことです。日本で出会う女性よりも伸びやかな感じがしました。日本の外に出て、言葉はもとより文化や慣習の異なる外国で、キャリアを進めている、あるいはその努力をしている女性たち。日々の苦労も並大抵でないと思いますが、自分のキャリアの進め方や、考え方について積極的に意見を求める人。言葉のハンディや日本人特有の「控え目」から抜け出せない悩みにアドバイスを求める人、あるいは、将来は日本での仕事を求めるべきかどうか迷っている人などが、次々に話にきてくれました。皆、将来はさらに成長して、いろいろな分野のリーダーになる人たちだと感じ、心からGood Luck! 、ご健闘を祈ったことでした。
実はニューヨークは、私のキャリアの原点ともいえる街です。初めてニューヨークを訪れたのは1956年、AFS高校交換留学生として1年をミネソタ州で過ごした後、その年の世界各国からのAFS留学生総計800名超が、首都ワシントンに集結した後、ニューヨークに5日間滞在しました。エンパイアステートビルをはじめとする摩天楼に圧倒された記憶が鮮烈です。
キャリアとしては、FITに留学したのが今からちょうど50年前で、ファッション・ビジネスへの道にコミットするベースになりました。50年前の、1967年のニューヨークは、本当に華やかでした。5番街にはオシャレなファッション店と世界の航空会社(当時の花形企業)のオフィスがひしめいていました。バーグドルフ・グッドマンやティファニー、サックスは今も健在ですが、DePiena や Bonwit Teller、Best & Co.、 B. Altman などの上品なファッション専門店や百貨店は、無くなってしまいました。代わりにいまは、H&M や ZARA、UNIQLO などが存在感を誇り、アップルやマイクロソフトの旗艦店が人であふれている、5番街になりました。
ボンウィット・テラーは、実は私が FIT の Co-Opプログラム(正規のミニ・インターン)で6週間実習をした店です。当時はサックスと並び称される、オシャレな老舗の大型ファッション専門店で、販売員もプロフェッショナル。それでいて親切で、コミッション販売のノウハウを教えてくれたものでした。それがなんと、建て直されてトランプタワーに! そのオーナーが、何とアメリカ大統領に! まさしくディスラプションの時代の到来です。
執務開始早々から話題・難題を振りまくトランプ大統領が率いるアメリカが、今後、どのような展開を見せるか。ここにも時代の転換点があります。
次回は、NRF(全米小売業大会)のハイライトをご紹介しましょう。

<WEFシンポ: グローバル・エグゼクティブから 日本女性と経営者へのメッセージ>

 WEF(一般社団法人 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション)の公開シンポジウム第 6 回が、 3 31 18 30 分から 東京ウィメンズプラザで 開催されます。すばらしい講師陣なので、ご案内します。

 登壇者は、ゴールドマンサックス証券㈱ のキャシー松井副会長と、H&Mジャパン代表取締役のクリスティン・エドマン氏。テーマは 「グローバル・エグゼクティブから日本女性と男性経営者へのメッセージ――ウーマノミクスへ向けて、キャリアと子育てを考える――」です。

 シンポジウム企画の狙いは、世界的活躍にされる二人の女性リーダー、いずれも 2人のお子さんを育てながら要職をこなしておられるお二人に、子育てをしながらのキャリア構築を、どうマネージするか? そのための企業の環境や仕組みや風土はどうあるべきか? 子育ての達成感とは? をお話し頂き、この問題に悩んでおられる女性や企業幹部に、新たなヒントと展望を開いて頂くことにあります。  詳細は→  WEF第6回シンポジウムご案内 

 キャシー松井さんは、「ウーマノミクス」 の言葉の創出者で、「日本女性の就業率が男性並みになれば、日本のGNPは13%上昇する」 の試算で注目され、日本政府の 「女性の活躍支援」 にも影響を与えた方です。 日系二世としてカリフォルニアに育ち、ハーバード大学などで学位を取られ、世界的証券会社ゴールドマンサックス社でマネージング・ディレクターに抜擢され、現在、チーフ日本株ストラテジストとして活躍されておられます。2007年には、ウォールストリート・ジャーナルの ” 10 Women to Watch in Asia “ にも選ばれました。

 H&Mのエドマン社長は、日本人とアメリカ人のハーフとして日本で育ち、米国さらにスエーデンで経営大学院に学んで、H&Mの日本進出に合わせて日本での活躍を始めた方です。スエーデンは、世界で最も女性が働きやすい、あるいは男女の区別なく、家庭を大事にし仕事も大事にする国として知られていますが、エドマンさん自身も、米国とは違うスエーデンの働き方に大いに触発され、H&Mの企業カルチャーの中で、日本でも、フラットで自由な組織運営のリーダーとして活躍しておられます。 H&Mが世界最大規模のファスト・ファッション企業として成功している背景についてもお話しいただく予定です。

 キャリアと子育ての問題に悩んでおられる、あるいはチャレンジしておられる女性の方々、またこの問題の発展的解決策を求めておられる企業幹部に、多くのヒントがあると確信しています。

 参加料は 3000円、お申し込みは、 info@wef-japan.orgまで。

<グローバルに活躍するために留学しよう ――FITから教授陣を迎えたセミナー開催>

 先回ご案内した、WEF5回シンポジウム「グローバルに活躍する――日本が変わる 目線を上げよう――」は、石倉洋子氏(一橋大学名誉教授)と吉田晴乃氏(BTジャパン社長)のパワフルな基調講演や生駒芳子さん司会のディスカッションで、会場がエネルギーで満ち溢れた会になりました。 グローバル化は、最近の来日外国人の増加やTPP交渉の進展(国の間の通商の壁が低くなる)、世界進出で成功しているユニクロや無印良品、等を見ても、日に日に拡大しているファッション・ビジネスの大きなチャンスです。

 シンポジウムの内容については、エフエフプレス(‟冷凍食品につい誰でもコメントで参加できる新媒体”)の山本純子さんが、素晴らしくまとめて下さっているので、下記をご覧ください。

「目線を上げよう」 http://frozenfoodpress.com/2015/11/06/wef-symposium-global-fashion/

   さて、同じテーマ「グローバルに活躍する」で、FITから大学院のトップと学科長を招き、留学セミナーを1124日(火)に開催します。ファッション・ビジネスでの留学に関心をお持ちの方、あるいはFITでの高度な専門教育にご関心のある方は是非ご参加ください。(参加は無料です) 詳細はこちら→   FITセミナー11月24日開催 フライヤー

  セミナーの内容は、ニューヨークFITの非常にユニークな大学院コース、Global Fashion ManagementGFM)の紹介と、FIT卒業生によるパネル・ディスカッションです。

  特に強調したいのは、このコースにはユニクロの奨学金が設定されており、これまでの3回のセミナーから、5名の留学生が出ています。その一人である保田優衣さんも現在ユニクロ奨学金でこのコースに留学中ですが、今回、教授とともに帰国し、その実体験を話します。

 このコースは、3年以上の実務体験を持つ社会人対象で、18か月(3セメスター)の過程を終了すれば修士号が得られます。毎年178名の学生が、世界の10カ国以上からニューヨークのFITに来て学んでいますが、カリキュラムは、ファッション・マーケティングから戦略やビジネス・マネジメント、財務など、ファッション・ビジネスのエグゼクティブとして必要な知識と能力を身に付けさせる、実学のマスターコースです。特にユニークなことは、通常の科目に加え、3週間の集中セミナーが、ニューヨークとパリ、そして香港で行われます。パリでは、ラグジュアリー・ビジネスを中心に、理論と実践を学び、香港では、中国の産地にも足を延ばし、モノづくりとアジア市場を中心に学びます。

  セミナーでFIT留学体験談を話すのは、杉野学園ドレスメーカー学院 院長の布谷千春さん、と、(株)RIBOTの馬場基臣さんで、それぞれ、マーチャンダイジング学科とデザイン学科の卒業生です。非常に充実したセミナーになると思います。

  グローバル人材の育成には、留学や駐在などで、実際に異文化を体験することが最も効果的と言われています。私自身も、高校交換学生と、FIT、そしてハーバード・ビジネススクールへの留学が、キャリア構築の上で、何よりの啓発と教育になりました。

  留学したい方、留学を指導されている方に、この機会をぜひご活用いただくことを願っています。