キャリア

<女性支援 WEF 記念シンポジウム 「新たな視点で ビジネスを立ち上げる」 >

 ファッション関連業界の女性活躍支援のために立ちあげた、一般社団法人 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(呼称:プロジェクトWEF )が、設立一周年を迎えます。

 お陰さまで、この1年間に開催したシンポジウムやキャリア研修、ダイバーシティ/女性活躍推進者会議等、12のプログラム(それぞれ約3時間)は、延べ1000人を超える方々に参加を頂き、業界での「女性リーダーつくり」の動きを加速する事が出来たと、有難く思っています。

 今回の記念シンポジウムは、その一周年を記念するもので、722日(水)夕刻から開催します。

 

 テーマは「新たな視点で ビジネスを立ち上げる―イノベーションをリードする現場力」。

基調講演は ㈱ DeNA創業者で取締役会長の南場智子さん。パネル・プレゼンターには ㈱三越伊勢丹執行役員で立川店長の石塚由紀さんと、カルビー㈱ の上級執行役員の鎌田由美子さんです。 詳細は http://www.wef-japan.org/event/607.html をご覧ください。

 企画の狙いは、起業、新規事業に取り組み成功された講師陣に、イノベーションの精神や実践、クリエイティブ・チームをどう作り、リードするか、等について、体験を通じてお話しいただくことにあります。 

 WEFのシンポジウムは、3つの目的を持っています。

第 1 は――業界が直面する重要な課題について、新たな視点と方向性を提示すること。

 今回は、「新規事業・イノベーション」です。ファッション/ライフスタイル産業界は、いま、これまでの男性的発想と仕組みで動いてきたビジネスに、多様な価値観や生活者ならではの視点を取りこみ、現場力で「新たな価値創造」を実現することが不可欠になっているからです。

第 2 は――活躍する女性のロールモデルを紹介すること。

 日本で女性の活躍が遅れている大きな理由の一つは、ロールモデルが見えない事にあります。特にファッション関連業界には多様な職種や職能があり、また女性には男性以上に働き方に影響する、結婚や育児・介護といった様々な状況があります。その中で女性は、自身のキャリア目標と日常生活、つまりワークとライフをどうマネージする? という、難しい課題に直面します。しかしその課題への取り組み方、あるいは人生の生き方は多様です。WEFのシンポジウムは、女性が独自のキャリアを、主体性を持ってつくって頂くためのヒントを、多様なモデルから得て頂きたい、と願っています。

第 3 は――人生を生きる、考え方や信条、哲学、に触れること。

 成功する人達は、どのような考え方や信念を持って、目標を達成し、自分のキャリアを築いて行くのか。 人がしない事を実行する覚悟や度胸、あるいは壁にぶつかった時どのような判断をし解決に導くのか。それらを支えるものは? そんなことを学んで頂きたいのです。

 今回のシンポジウムは、女性のエンパワメントだけでなく、イノベーションへの展望を拓く、またとないチャンスになるものと考えています。男女を問わず、沢山の方に御参加頂きたいと願っている所です。

<女性活躍支援の WEF 第3回シンポジウム ――「ワーク/ライフのマネジメント」 >

 一般社団法人 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(呼称:プロジェクトWEF )の第3回シンポジウムが 324日(水)夕刻から開催されます。テーマは「ワーク/ライフのマネジメント」で、基調講演にはこの分野の第一人者の小室淑恵さんをお迎えします。小室さんは、2人のお子さんを育てながら起業をされた、このテーマの実践者です。多くの企業にワーク/ライフのバランスによる働き方の改善と生産性の向上に関するコンサルティングで実績をあげている方でもあります。シンポジウムの詳細は   http://www.wef-japan.org/event/501.html をご覧ください。

  パネル・プレゼンターも素晴らしいメンバーです。ユナイテッドアローズ執行役員の山崎万里子さんは、大学時代からアルバイトで、大好きなユナイテッドアローズの仕事をされて来られた方。「仕事の不安を一つひとツブしていくやり方」の著書で、信奉者のキャリア女性も多いようです。Gap ジャパンの志水静香さんは、同社の HR (人財)シニア・ディレクターとして、2児の育児と社会人大学院での勉強を両立された方。WEFの推進者会議では、米国と日本の人事制度の良い点を合体した Gap 社の仕組みを、事例としてお話しいただき好評でした。松岡晃代さんは、ニューヨーク在住のジュエリー・デザイナーで、現在 FIT などで先端分野の3D印刷の講師もされています。育児をしながらフリーランスの仕事を、アメリカ人の御主人とのライフを大事にしながら進めておられます。

 今回の狙いは、女性が活躍する上で、「ワーク」と「ライフ」を対立軸ではなく、 “働き甲斐のある仕事” と “達成感ある人生” を融合させて全うすること、ととらえ、そのための仕事の仕方とはどのようなものか。それを可能にする一人一人の心構えやビジョン、生活態度をどう組み上げるか、のヒントを得て頂く事にあります。「ワーク/ライフのバランス」というよりも、「ワーク/ライフのマネジメント」、つまり、キャリアあるいはライフ・イベントの各ステージに合わせながら、ワークとライフを両立させるマネジメント力を身につけて頂きたい、との想いです。

 「ワーク/ライフのマネジメント」は、女性だけの問題ではなく、男性も含めた問題であり、また、「働く意欲」と「生産性」を上げる仕事の仕方は、日本企業全体の課題です。

 この機会を、沢山の方に活用して頂きたいと願っています。

<NRF 2015レポート ②――Flux ゼネレーションが カオスの時代をリードする>

 今年のNRF (全米小売業大会)で、日本のこれからにとって、最も重要だと思ったセッションを御紹介します。

 FastCompanyという、アントレプレナー(起業家)あるいはイノベーションを志向する人が好んで読むビジネス誌があります。その編集長で最高業務責任者も務めるロバート・サフィアン氏が、破壊的な変化が起こっている今、新しい人材像「フラックス・ゼネレーション」が強く求められている、と講演しました。

(Flux ゼネレーションを特集した FastCompany 誌 の表紙) 

 実はこの特集は2012年2月号に掲載されたのですが、その時点で私は目から鱗の強烈なインパクトを受けました。それが2年以上を経て、今年のNRF大会の8つの基調講演の一つに選ばれた事で、 私の先見性をちょっとばかり、誇らしくも思っています。(!)

 サフィアン氏は言います。 「今はカオスの時代。何時何が起こるか全く予想できない混沌の世界だ。これまでのビジネス法則が役に立たないばかりか、超スピードで変わる環境に対応せねばならない。 創造性の爆発が巨大な選択肢を生んでいる現在の世界で成功するには、新しいタイプのリーダーが必要だ。フレキシブルでアジャイル(聡明で素早い)、過去に例の無い新しい事を始めることを躊躇しない人材だ」。

 Flux ゼネレーションは、1990年代後半にFastCompany誌がスタートして以来、時代を革新した起業家、Appleのスティーブ・ジョブスやAmazonのジョセフ・ベゾス、あるいはFacebookのマーク・ザッカーバーグ等をインタビューしてきた経験を通じて、彼らの共通項から見た新しい人材像です。

 Flux(フラックス=流動とでも訳しましょう) は、ゼネレーションといっても、「世代」の意味ではありません。「今という時代」 と 「人のタイプ」、年齢ではなくマインドの問題だ と氏はいいます。従来のやり方に固執せず、柔軟でアジャイル。 成長のため、環境変化をTake advantage(利用)し、恐れずリスクをとる人間です。「最も重要なスキルは、新たなスキルを加える能力。」とも言っています。

 同誌は特集で、典型的フラックス達を紹介しています。第1回目の特集に登場したのは、20代後半から60代までの多様多彩な職業、経歴もそれぞれユニークな人たちです。たとえば写真中央の年配の男性は、永年同一企業に勤めたが、コンピュータ・グラフィックスで映画エイリアン等の特殊効果を担当後、晩年に独立。現在1200人を雇用するマーケティング会社を仕切っているひと。その左の女性は、ハーバードで建築を学び、ドキュメンタリー映画の監督,広告代理店やNPOや国務省を経て、いまコンサルタント。右端の男性は、ネット世界で急成長するスタートアップの一つ、ネット世界のマーケティング会社Mashableの創業者で28歳、と紹介されています。

 Fluxは、新たな仕事や環境に飛び込むことを恐れないばかりか成長のチャンスと喜ぶ人種なのです。

  「ファッションという伝統的業界でも、Fluxマインドは発揮されている。バーバリーは多数のアイフォンでショーを上から撮影しユーチューブで配信。トレンチコートの伝統を、テクノロジーでレレヴァント(今日の顧客に意味がある)にしている」。 ファッション産業が、ビジネスモデルとしては変化に乏しい業界とサティアン氏が考えている事は、ショックでしたが、確かにバーバリーの革新は、あちこちで取り上げられています。

  参加者へのメッセージとして、氏が送った「革新者から学んだ4項目」 は次の通りです

1.革新のアイデアをあらゆるところから見つけ出せ。イノベーションはサイロ(組織)間のギャップで起こるのだから。

2.自らのリーダーシップのあり方を再定義せよ。立派なデスクを定位置とするリーダーではだめ。革新を起こし続けなければならない。

3.自分がうまくやれることにフォーカスせよ。そして他を退けよ。

4.最も重要なことだが、自分のミッションを見いだせ。4PPurposePeopleProductProcessの中でも『目的(Purpose)』が最も重要。その目的が全てを動かす(Drive)するようにせよ。目的とミッションが明確であれば、うまく行かなかった場合も、その取り組みを誇りに思う事が出来る。

 サティアン氏の締めくくりの言葉はダーウィンの名言でした。

  「生き残るのは、もっとも強いものでも、もっとも賢いものでもない。もっとも変化に対応する ものだ」

  日本での「Flux ゼネレーション」の台頭を、切に期待しています。