ソーシャル・メディア

WEFシンポ:C Channel 森川亮社長 と ジュピター・ショップチャンネル 西塚瑞穂MD副本部長で

  WEF第10回公開シンポジウムを、7月21日(金)18:30~20:40に開催します。

 テーマは、  「顧客フォーカスで、共感と感動を呼ぶFBイノベーション 

           ――テレビショッピングと 女性向け動画のファッション雑誌から学ぶ――  

 講師は C Channel の森川亮社長 と ジュピター・ショッップチャンネルの西塚瑞穂マーチャンダイジング副本部長

 詳細は →http://www.wef-japan.org/event/982.html WEF第10回公開シンポジウムご案内 <20170721開催> をご覧ください。

 ファッションの店舗での販売が落ち込む中、店舗の外で 深く静かに進む潮流の代表的事例、つまり、若い女性を魅了するSNS動画メディアのC Channel と、中高年女性がはまる テレビショッピングを取り上げました。顧客がそれぞれのライフスタイルと価値観で、メディアやショッピング手法を選ぶ時代になり、それぞれへの照準(フォーカス)が重要になっているからです。

  森川氏は、いまやグローバルに拡大している LINE を立ち上げた方でもあり、現在はデジタル・メディアの最前線である動画メディアに取り組んでおられます。西塚氏は、「テレビショッピングは最高のエンターテインメント」をかかげる日本最大のテレビショッピング会社で、24時間ノンストップ放映のマーチャンダイジングに取り組んでおられる方です。 パネルディスカッションでは、ショップチャネルにデザイナーとして出演している横森美奈子さんにも登壇いただき、生駒芳子さん(いずれもWEFの設立メンバー) のコ―ディネートで、活発な議論が進むと期待しています。

 

 WEFのシンポは昨年から、ディスラプション時代の、ファッション・ビジネスのイノベーションをテーマにしています。今回も、FBの変容を実感して頂けると嬉しいです。

(完)

<FITセミナー報告⑧ チャクター氏の結論-「違いを生み出すマーケッターの行動」>

  FITセミナー「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス」の報告のまとめとして、チャクター教授が最後に強調した「違いを生み出すマーケッターの行動」を紹介しましょう。

  「オムニチャネル時代の到来」を説くまでもなく、小売ビジネスの環境は激変しています。モバイル(携帯端末)の普及と日常生活への浸透は、Eコマースに巨大な影響をもたらすでしょう。モバイルは、「リアル店舗での買い物体験の 絶対的なゲーム・チェンジャー(変革を起こす力)となる」とチャクター氏は強調します。なぜなら、顧客は、店頭でモバイルの技術力を利用することで、従来では考えられなかった主体的な情報収集、判断、行動を起こし、自らの買い物体験を創造するからです。

  このような変化の中で、マーケッターが「他社との違いを生み出す」ために必要なことは何でしょうか? チャクター教授が下記を上げました。

 1.Rethink―― もう一度、“つながる消費者” の意味を考えよう。――“つながる”の最大の意味は、消費者同士が繋がり互いにインタラクトしながら大きなパワーになること、だと私は考えますが、それが脅威にも、チャンスにもなり得る、ということを肝に銘じることが重要です。また企業あるいはブランドは、顧客(消費者)との繋がり(単なる関係だけではなく、エンゲイジメント)を醸成せねばなりません。

 2.採用は“アティテュード(態度・姿勢)”をもとに行い、スキル(技術)はトレーニングで習得させる――スタッフの採用は、スキル優先ではなく、顧客に快適な買い物をしてもらうために出来ることをすべてする、といった姿勢の持ち主を雇え、の意味です。

 3.フェースブックの “いいね”は 許可=会話を始めることの許可と考えよ。――“いいね(Like)”を数多く獲得することだけでは、大きなことは起こせません。それを起点に顧客との会話を深めてゆく事が大切です。

 4.誰にサービスを提供しているかを忘れないこと。顧客を知ること。質問をし、リサーチをし、新たなプロモーションを試す。――ターゲットを明確に、あるいは再確認するために、双方向のコミュニケーションが有効です。

 5.従来の路線から踏み出すことを恐れるな。ただし、モニターをし、反応の分析を忘れないこと。――ソーシャル・メディア、オムニチャネルは、これまでの顧客マーケティングの概念を大幅に逸脱するものであり、まだ緒についたばかりです。新たな試みに挑戦することなしに成功する、とくに一般論でなく自社にフィットする方策をみつけることは、難しいでしょう。

 6.革新的な考えを受け入れよ。ただし、Eメール、検索、ターゲット・マーケティングなどの基本を忘れてはならない――

  以上、8回にわたって、FITセミナー第3弾「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス――ブランディングと顧客エンゲイジを成功させるソーシャル・メディア活用法」から、私の印象に残ったポイントを御紹介してきました。

 次回は、私自身の「オムニチャネル時代のファッション・ビジネス」についての考えを述べ、まとめにしたいと思います。

<FITセミナー報告 ⑦  「オムニチャネル」をモニターするための 重要業績指標>

  オムニチャネルに取り組む際には、有効なソーシャル・メディアを選ぶことが重要です。選択は、自社のオムニチャネル戦略目標との兼ね合いで行わねばなりません。それぞれのソーシャル・メディアの特徴については、先回述べました。

(FITセミナー風景と講演するチャクター教授)

  今回は、オムニチャネルの実施に当たって重要となる、消費者行動とモニタリングについて書きます。消費者行動の理解については、どのソーシャル・メディアが利用されているか、どのデバイス(パソコンか、スマートフォーンか、タブレットか、など)、ショールーミングによる購入の度合い(製品のタイプにより異なる)、ホームページへの来訪者がどこから来ているか、などを、把握することが重要です。 ソーシャル・メディアをモニターするためのツールは、「御社のホームページへの来訪者をモニター、確認、分類をする」ことと、「ソーシャル・ネットワークで御社を話題にしている潜在的顧客の抽出を可能にする」事に貢献する、とチャクター教授は言います。ここで活用されるのは「ソーシャル・ダッシュボード」です。「ダッシュボード」とは、複数の情報源からデータを集め、概要をまとめて一覧表示する機能や画面、ソフトウェアのことですが、膨大なデータを、目的に応じて、分かりやすく見やすく提示することは、顧客のモニタリングに非常に有効だからです。

  また、重要な業績指標として チャクター教授は、下記の 5 点を挙げています。重要業績指標とは、いわゆる KPI Key Performance Indicator )と呼ばれるもので、下記のために有効です。

  • 企業のゴール(目標)へ向けた進捗状況を明らかにし、数量化できる手法。
  • 経営者が現在の状況を迅速に把握し、速やかに行動をおこせるように、 複雑な要素を一つの指標であらわす。
  • 対策として行動をとれる(ものでなければならない)。

  重要業績指標として重要な 5 点は、次の通りです。

 ① コンバージョン率―― 来訪者に対しての購買客の割合。単純に来訪者に対するコンバージョン率を追跡するのではなく、どのプロモーションが効果的だったかを知るためにキャンペーンごとに追跡する必要がある。

 ② 平均受注額―― 受注に対する収入の割合。平均受注額は利益率に影響する。よって、顧客により高価な商品を買ってもらうよう、また、1アイテム以上買ってもらえるように誘い込む必要がある。

 ③ ビジット・バリュー ―― すべてのビジット(サイト訪問)に対する利益の割合。これは、御社のホームページに適切なトラフィックをどれだけ導いているかを計る意味で、非常に重要なベンチマークである。

 ④ 顧客のロイアリティ―― 新規顧客の既存顧客に対する割合。顧客が御社のホームページを一度きりの購入目的としてとらえているのか、忠実な顧客なのか、を認識する事は重要である。

 ⑤ 検索エンジンからの照会――業界の平均に対する、検索エンジン(グーグル、ビング)からの照会の割合。有料の検索キャンペーンのコンバージョン率の追求にも使用されるべき。

  以上の重要業績指標を、常時、把握することです。

(次回は、チャクター氏が結論としてまとめた「違いを生み出すマーケッターの行動」について書きます。)