女性リーダー育成塾 「アマテラスアカデミア」の6期生に特別講義をさせて頂きました。テーマは、
「あなたのキャリア人生―My Storyはどんな物語?」
“自信とパーパスをもって、プロフェッショナルとしての人生を”
講演の内容は「プロフェッショナリズム」と「リーダーシップ」をどう育み実践して行くか、でしたが、私が最も伝えたかったことは、「人生は、人、それぞれ違う」、それをどう生きるか? つまり 「どんなMy Storyを創ってゆくのか?」 でした。 自分のキャリア人生を、自信と勇気をもって自ら創り上げて欲しい。そのために必要なことは、「人と違う自分」 を大事にし、それに磨きをかけること。周りを気にして羨んだり、不安になったり、あるいは周りに翻弄されたりしないで、「違い」を自分の独自性だと考え、自信と勇気をもって自分の道を切り拓こう、というメッセージです。
私が 「Different(=人と違う)は誉め言葉だ!」を実感したのは、16歳の時。AFS高校交換留学で訪れた米国ミネソタ州のマンケイト高校でした。新しい服などを着てゆく度に、Yoko, that’s so different! と言われる。当時の日本では、「人と違う意見や行動は絶対ダメ」でした。(現在でも、「目立つことは避けたい」と考え、周りの状況や空気を読んで自分を抑えてしまう日本人が多いのは、残念です。)
毎日のように 「あなたはDifferent=人と違う」と言われて落ち込んでいた私に、「それは誉め言葉よ!」と教えてくれたのは、ホスト・ファミリーの同年の妹でした。そういわれて気をつけてみると、確かに「ディファレント」と言ってくれる人の言葉には、好奇心や称賛のニュアンスがありました。さらに授業でも、例えば“歴史上の人物を1人選んでリポートを書け”といった宿題が出ると、みな「あなたは誰にする?」などと情報集めをするのですが、選んだのが同一人物だったりすると、「あー、私と同じだ! どうしよう。、、あなたは別の人物に変える可能性は絶対ないの? それなら私が変えよう」と、人と違う人物に変えるのです。要するに、人の後追いはしないで、独自の分析を展開できる方策を取る。まさに目から鱗、でした。(同じ人物を選んだら、リポートの優劣比較も明確になってしまう、という知恵も働いているかもしれません。)
この「Different」が、キャリアづくりの骨格として重要であることを、受講生の松下真梨子さんが自分の言葉でリポートしてくれたことに、感激しました。“Differentを、ポジティブ(肯定的)にとらえるか、ネガティブ(否定的)に捉えるかで、行動が変わるのでは、、” という指摘です。その感受性の鋭さと、自分事として深堀する姿勢が嬉しく、講師冥利に尽きる思いがしました。そのリポートをご紹介します。 → 第6期9月 第5回尾原蓉子先生による特別講義 (アマテラスアカデミアのホームページより)
松下さん曰く、
<尾原さんは今回の講義の中で 「【違い】とは誉め言葉である」と何度も話してくださいました。なぜこの言葉がキーワードなのか今回の講義を私なりに解釈したところ、【違い】という言葉をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかで、行動が変わるのでは?と気づきました。
人と違う決断には勇気が必要であったり、人との違いを見て羨ましがるであったり、みんなと一緒でないと不安、というのは【違い】をネガティブに捉えているからそう感じるのではと思います。
【違い】は誉め言葉、つまりポジティブに捉えると ものの感じ方や自分のやりたいことに対して前向きに行動できるのではないでしょうか。
松下さんはまた、<感想>として、私が推奨した 「無理はしない。仕事は On your terms=あなたの条件に合わせて、人生の一部に取り込んでゆく」、という生き方に驚いた(意外だった)、と書いておられます。On your termsというのは、“あなたの条件”、つまり“その時の環境や個人的状況、その時点では対応せざるを得ない特殊要件”のことです。女性が男性同様に活躍しようとするとき立ちはだかる諸々の壁。しかし私は米国で 「自分の条件で仕事をする」 事例を多く見聞きしました。例えば幼児をかかえた女医さんが、ベビーシッターが確保できる午前10時~午後4時だけ診療所を開ける、といったことです。
女性が、環境的に仕事の継続が難しくなる時期があっても、「無理はしない、しかし自分に合う条件でやれること、やりたいことをやる」。仕事も家庭も自分の人生の一部と考えて、しなやかにキャリアを続けたい。そのためにも、「人と違う」 ことについての、自信と決断する勇気が不可欠なのです。これは拙著『Break Down the Wall- 環境、組織、年齢の壁を破る』でも何度も書いていることです。
アマテラスアカデミアとは、美容研究家でメイクアップ・アーティストでもある小林照子さんが、自費で立ち上げたキャリア女性向けの講座です。業界を問わず30代を中心とする15人を毎年選考して、一定のカリキュラムで講座を開催。昨年に引き続き特別講師を務めた私でしたが、成長意欲あふれる受講生との対話から学ぶことが大きいと、改めて感激と感謝を深めています。 END