プロフェッショナル

「プロジェクトWEF」シンポジウム開催: 「女性のエンパワメントをめざして」 9月24日

「女性の活躍推進」に関する報道が、新聞やテレビなどを賑わしています。安部首相が力を入れている、「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」 World Assembly for Women in Tokyo(略称:WAW! Tokyo 2014)が、912日(金曜日)から14日(日曜日)にわたって開催され、“女性が活躍する社会”へ向けて、大きなうねりが起きているように感じます。主催者は、日本国政府,日本経済団体連合会,日本経済新聞社,日本国際問題研究所。

  初日の12日には公開フォーラムが開かれ、ラガルドIMF専務理事をはじめ世界各国から政治やビジネス界のリーダー達が、女性が働くことによる経済効果や多様な働き方、世界共通の女性の課題を熱っぽく議論したことは、報道されている通りです。また日経新聞が1面で、「Wの未来 俺に任せろ」をスタート。「男性の理解と行動が女性(Women)の輝きを増す。オトコ社会を自ら変える男性たち迫る」のシリーズで、損保ジャパンや加賀屋などのトップが、どのように女性起用を進めているかの事例紹介が始まりました。

  私が会長を務める「プロジェクトWEF」(一般社団法人 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション )も、第2回公開シンポジウムを924日(水)に開催します。(詳細 →  http://www.wef-japan.org/ 丁度上記の“WAW! Tokyo 2014” が、シンポジウム前後の期間をシャイン・ウィークス(Shine Weeks)と位置づけ、女性関連イベント開催を推進しているので、「プロジェクトWEF」もこの「サイドイベント」の一環となっています。

  WEFシンポジウムの全体テーマは 「女性のエンパワメントをめざして」。特別講師にお招きするのは厚生労働次官の村木厚子氏。 「しなやかなパワーで課題を乗り越える」 のテーマでご自身のキャリアと誤認逮捕という信じられない出来事に遭遇されても、しなやかに、しっかりと、信念に基づくキャリアを進めて来られたお話し。 トークセッションでは、エシカル・ファッションで著名な生駒芳子氏と()ケイト・スペード・ジャパン社長の柳澤綾子社長に、「ファッション・ビジネスでの女性のエンパワメントとは」、をそれぞれの視点とキャリア体験を含めて、語って頂きます。

  男性を含む沢山の方々に、是非聞いて頂きたいと願っています。9月24日(火)の18:30から会場は、東京ウイメンズ・プラザ 大ホール です。シンポジウム終了後、懇親会も行います。

  お申し込みはHPから。  http://www.wef-japan.org/ お目にかかれるのを楽しみにしています。

 

<『FB』将来へ向けて④――FIT大学院 GFM コースに留学するには?>

  FIT大学院の、GFM(グローバル・ファッション・マネジメント)コースは、内容が非常に充実しているため、世界中からの応募が多いのですが、定員は20名以下、という入学審査の厳しいコースです。

  GFMコースと応募に関する詳細は、FITのホームページ、http://www.fitnyc.edu/2865.asp にアップされています。応募はオンラインでアカウントをつくることから始まりますが、それもこのサイトから入って行くことが出来ます。

  応募者の理想的な条件として FITが重視しているポイントは下記の通りです。

1.アパレルあるいは関連業界での3年以上の実務経験 ―この分野ですでにキャリアをスタートして 実務の経験があり、クラスでも貢献が出来る

2.キャリアを通して優れた成績をおさめている ―学校及び仕事での際立った成果

3.現実的で意欲的キャリア目標をもっている ―将来エグゼクティブ/リーダーに、あるいは起業を

4.チームワークを効果的に行う能力 ―多様な人材を束ねるリーダーシップあるいはチームプレイ力

5.ビジネスと同時に業界の創造的側面に興味を持っている

6.デザイン、ビジネス、経済、法律、政治、芸術及び文化におけるトレンドを、アパレル業界に繋ぐ知的好奇心と能力を持っている。

FIT大学院 GFMセッションで紹介された 小池夏子さんのビデオメッセージ

  実際にはどんな人物が、GFMコースで学んでいるのでしょうか? ニューヨーク生の出身企業をみると、世界的なブランドや小売業が多いとの事です。 たとえば、CoachLi & FungBrooks BrothersLoro  PianaMichael KorsFerragamo U.S.ATiffanyMacy’sSaks Fifth AvenueKohl’sBergdorf GoodmanWGSNG-III, など。 起業を考えている受講生も多く、主な分野は、アパレル、靴、Eコマース、コンサルティング、などだそうです。

  GFMコースは世界的なネットワーク、すなわち 3大陸(米国、ヨーロッパ、中国)にまたがる業界プロフェッショナルとのコネクション、があります。その関係で学生の出身国も、ニューヨーク生の場合、非常に多様なミックスで、メキシコ、南アメリカ、オーストラリア、アジア、中近東、ヨーロッパ(イタリア、ギリシャ、トルコ)などに広がっています。 このような受講生の構成だけからでも、このコースが、グローバルなエグゼクティブを育てるのにふさわしい環境にあることが分かります。

  日本人は、昨年まで皆無だったのですが、ユニクロ奨学金(日米カウンシルが提供するTOMODACHI-UNIQLO フェローシップ)により、この秋からその第1号として、小池夏子さんが留学しています。小池さんは、日本では大手の広告代理店で仕事をしながら、ファッション分野でキャリアを築きたいと考えていた人です。今回開催した「FIT大学院 GFM コース紹介セミナー」には、ニューヨークからビデオ・メッセージを送ってくれました。それによると、「当初は GFM のクラスについていけるかが、心配だった。しかし、先生もクラスメートもとても親切なこと、ディスカッションも自分の経験を話すことで貢献が出来る事、などで、刺激的な毎日を送っている」と生き生きと語っている姿が印象的でした。

  来年度も、GFMコースで学ぶ日本からの留学生が継続的に増えることを願って、日本FIT会(FIT卒業の日本人同窓会)は活動を続けています。

   このFIT/ GFM セッションについては、日本FIT会のホームページにも報告が上がっています。http://www.fitkai.jp/ から入られると、「My FIT Story」に、ニューヨークで勉強中の小池さんからのメッセージと、GFMコースに関するQ&Aも載っています。

  (次回は、GFMコースなどに奨学金を設置している TOMODACHIプロジェクトについて書きます)

 

<”FB” 将来へ向けて① グローバル人材の育成:変わる大学院ーFITの実践教育>

 先回ご紹介した、FIT大学院 「グローバル・ファッション・マネジメント」 紹介セッションは、11月19日に開催されました。 予想を超える約70名の参加申し込みを頂き、プレゼンテーションも質疑も 大いに盛り上がり、熱気あふれる2時間のセミナーになりました。

 テーマは 「ファッション・ビジネスのグローバル人材を育成するFIT――Global Fashion Management (略称GFM) コースで学べる事は?――」 。

 講師はニューヨークから来日したFIT大学院長(ディーン)の Mary Davis 博士、GFMコース学科長の Pamela Ellsworth 教授です。 

FIT/GFMセッションで講演する デイビス大学院長

はじめに、尾原が 「グローバル人材開発に関する問題提起」 を行い、次いで、デイビス大学院長の 「米国における大学院教育の変化」、エルスワース学科長による 「GFMコース設置の狙いとカリキュラム」 のプレゼン。さらに 「TOMODACH I-ユニクロ奨学金の説明」 と、「奨学生第 1 号がニューヨークから送ってきたビデオ・メッセージ」、そして質疑応答、と続きました。

 

 今回は、デイビス大学院長による講演 「米国における大学院教育の変化」の内容を紹介しましょう。 デイビス氏が強調する大学院教育の変化と展望を簡潔にまとめると:

1.社会やビジネス環境の変革が、人材に求める資質や能力を変え、大学院が重要性になっている。

2.大学院教育は、キャリアとアントレプレナー(起業家) 開発のベース。知識経済におけるリーダーシップを身につける知識・技術を提供する。イノベーションと経済的繁栄の鍵でもある 

3.米国は、大学院教育では、これまで世界をリード。しかし今、欧州が大学院教育の大改革に取り組み、中国・インドも、教育システム改善に巨大投資をしている。

4.今後10年間に生まれる新しい職種の半数以上が、プロフェッショナルとサービス関連

5.求められるのは、過去の製造業のように “生産する” のではなく “考える” 働き手

6.女性の修士保持者が伸び、比率が男性を大きく超えた

7.FITの修士課程では、デザイン関連の4コースで、Master of Arts、Master of Fine Arts  の修士号を授与。ビジネス関連の 2 コースは、Master of Professional Studies (MPS=プロフェッショナル・スタディス修士号) を授与する

 「MPS」というユニークな学位は、ファッション関連業界ですでにキャリアを進めている人に、エグゼクティブへむけての教育をする狙いで設置されたものです。その一つが、GFM(グローバル・ファッション・マネジメント)なのです。 GFMについては、次回以降に詳しく紹介しますが、この学位が「MBA」ではなく、「MPS」であることも、ファッション・ビジネスの世界をリードするFITならではと思います。

 もう1つ、FIT大学院長ディーンの要職にあるデイビス博士は、何と ハーバード大学で 『音楽学』 博士を取得された異色のキャリアです。「創造性とビジネスを合体させる教育」 をめざすFITが、こういった経歴の女性を大学院のトップにスカウトしたのも、時代の大きな変化をとらえたFITのビジョンと戦略を象徴するものでしょう。

  (次回は、GFMコースの教育目標とカリキュラム、について書きたいと思います)