繊維(ファイバー)を直接身体に吹き付けて、服をつくる。蜘蛛の糸の原理から人口糸を作る。自動成形編機で、糸から製品までを一挙に国内生産する(裁ち落とし生地の無駄もない)。
アパレル製品の「ものづくり」で、イノベーション(革新)が少ないことを残念に思っていましたが、色々な新規の試みが登場しています。これまで、伝統的工程――綿(わた)から糸を作り、生地に編織し、裁断・縫製して製品にする。この手法が明治時代から、抜本的な革新もなく、継続されてきました。その結果、サプライチェーンは低賃金の海外途上国へ長く伸び、国内生産は激減、他方、過剰在庫・大量廃棄も見過ごせない状況になっています。
ファッションを取り巻く環境が激変し、サステイナビリティ(持続可能性)の観点からも、ファッション産業の革新が不可欠です。とくに、これまで「創・工・商」の内の「商と創」中心であったイノベーションを、今まさに、「工=ものづくり」の仕組みを変革するイノベーションにする時だ、と考えます。つまり、綿(わた)→糸→編織生地→裁断・縫製の、長いプロセス。多くの企業が関わり機能分担し、コストも環境負荷も多大なサプライチェーンを構築している。これを、短く・速く・スリムなプロセスに大変革して、地産地消や無駄の排除に取り組むべし。それは発想の大転換で可能だ、と、言いたくて、「モノづくりのイノベーション」 の小論を書きました。
掲載紙の繊研新聞から承諾を頂いた寄稿文です。