FB産業構造

<経産省「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」 報告=新時代への設計図 >>

 

 異常気象、集中豪雨による熱海などでの土石流災害や、新疆ウイグル地区の人権問題で日本企業のグローバルビジネスに支障が出始めた、など、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みの緊急性を痛感させる出来事が頻繁に起こっています。

 サステナビリティに繊維産業として取り組むために、経済産業省が今年2月に設置した、「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」の報告書が、今日(7月12日)公示されました。報告書の副題は、「〜新しい時代への設計図〜」。まさしく繊維ファッション産業のこれから目指すべき方向とそのための具体的提案書です。

 筆者もこの委員の一人として、6回の情報共有やディスカッションや施策の検討に加わり、“サステナビリティ”が繊維ファッションに関わる産業にとって、いかに重要で、かつ緊急の課題であるかを、再認識しました。またZ世代と呼ばれる若者たちが、未来へ向けて商品やサービスのサステナビリティを、主要な価値基準としていること。さらに、“サステナブル”という新しい価値の創造が、低迷を余儀なくされている日本のファッション産業に新たな展望を拓くことへの期待も膨らみました。

 委員は、東大の新宅純二郎教授を座長とする、業界各段階を代表する企業や団体のトップ、関連分野の専門家で構成され、毎回、ゲストの有識者による重要分野の実態報告や事例紹介、問題提起を踏まえ、議論が進みました。主催者、製造産業局生活製品課長の永澤剛氏率いる事務局の意欲的な取り組みにも、共感しました。

 報告書は、膨大な情報や事例をふまえた提言を、35ページにまとめたもので、非常に意義深いものになったと考えています。また「概要」として、ポイントの箇条書き的まとめ(全11ページ)や、「プレゼンテーション・ポイント集」 もあります。(リンク→ 

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/textile_industry/20210712_report.html

(6回の委員会議事録も閲覧できます。→繊維産業のサステナビリティに関する検討会

 

<報告書の内容> 

構成は、以下の通りです。

I.             繊維産業の現状

II.           サステナビリティに取り組む意義

III.          サステナビリティに係る現状と今後の取組

1.  環境配慮=限りある資源を有効活用するため、資源循環の取り組みを始める

2.  責任あるサプライチェーン管理=サプライチェーン上での労働環境や使用する素材    等に関して、責任ある管理を進める

3.  ジェンダー平等=社会的・文化的な性差によって差が生じない環境整備を進める

4.  供給構造=適量生産・適量供給に向けた取り組みを進める(過剰供給を是正)

5.  デジタル化の促進=サステナビリティに係る取り組みを進めていくため、デジタル    技術の活用を進める

 詳細は、是非本文をお読みいただきたいと思いますが、強調したい点は、この提言が、“官民一体となった未来へ向けての取り組み”であること。特に重要なのは、サステイナビリティ(持続性)の実現が、企業あるいは業界の努力だけではなく、消費者の参画・協力無しでは不可能であること。消費者=生活者は、サステナビリティにおける最も主要なステイクホールダー(利害関係者)であり、商品やサービスの購入を選択的に行うことで、サステナビリティ実現の成否を、強くコントロール出来る立場にあります。これについては、このブログの、先回、先々回で紹介した、米国アイリーン・フィッシャーの循環型モデルや、ドイツ通販大手 ザランド が顧客の商品選択ツールとして提示している、“サステナブル・フィルター”なども、参照下さると嬉しいです。

 下の、「サステナビリティに係る取り組みの全体像」は、これをよく表現した図です。(報告書「概要」より)

見出しの下にあるように、「繊維産業においてサステナビリティに係る取り組みを進めていくためには、企業及び消費者の取り組み・意識改革が必要」。そして、業界の川上・川中・川下とつながるサプライチェーンは(循環型モデルの場合はなおさら)消費者に深くつながり、その活動を投資家や社会が注視し、評価する、というのが全体像です。

 左下のカコミ、「サステナビリティに係る取り組みの例示」には、喫緊の重要課題が挙げられています。「環境配慮設計」、「店頭回収」(2次流通も含む)、「デュー・ディリジェンスの実施」、「国際認証取得」、「ジェンダー平等への理解・取り組みの実施」、「RFIDなどの活用」、「顧客を中心に置いた事業展開」、「生産工程の改革」など、いずれも日本が欧米先進国に後れを取っているものです。

 中でも繊維ファッション産業においては、女性の活躍がビジネスの発展に大きく貢献すると、報告書は書いています。下記は、「ジェンダー平等」のセッションでの尾原のプレゼン、「女性の活躍を阻む日本の問題」 のチャートです。(「ポイント集」に掲載。尾原プレゼン内容の詳細は、第4回委員会議事録でご覧いただけます)。これらは筆者が、長年、とくに2014年に設立した、一般社団法人 Women’s Empowerment in Fashion の活動を通じて痛感してきたことです。

 日本における女性活躍の遅れは、OECD発表の2021年ジェンダーギャップ指数の順位で、156か国中120位。G7でも最低です。報告書では、“本年6月のG7会議で発出された G7カービスベイ首脳コミュニケにおいても、「ジェンダー平等の達成は、意思決定のすべての側面において、女性の完全、平等かつ有意義な参画に支えられる必要がある」とされたところである”と紹介しています。最近株主総会などで、いわゆる「物いう株主」(アクティビスト)による、企業のガバナンスに関する株主提案が注目されていますが、日本企業の、女性役員や管理職の少なさは、グローバルにみれば、アクティビストが最も標的にしたいイッシューでしょう。

 報告書は、今後の取り組みとして①官民ラウンドテーブルの設置、②若い世代に対するロールモデルの提示や将来を担う若い世代にアンコンシャス・バイアスを打破するジェンダー教育の実施、キャリアイメージを描けるロールモデルの提示、などを提言しています。

 「サステナビリティ」という新しい言葉で語られていますが、モノを大切にし、資源の無駄使いをしないで人々の生活を潤すというのは日本が伝統的にもつ精神です。長い歴史と文化をもち、繊維産業の発展に貢献してきた日本。ノーベル賞受賞のケニア環境副大臣ワンガリ・マータイ氏が深く感銘を受け世界的ムーブメントにした 「モッタイナイ」の思想、あるいはDNAを持つ日本。丁寧に仕立てた着物や浴衣を、何度もリサイクルしながら最後は はたき や雑巾にし、さらに漆喰に塗り込んで土に還らせた日本がもつ、「サステナビリティ」の精神。 これを再度実現して世界をリードしたいと強く願うものです。                      

End                          

 

< NRF2021 リポート⑥続き 「ブランド」として取り組むサステイナビリティ >

 サステイナビリティへの機運が盛り上がってきました。「SDGs」が小学生の間でもキーワードになっていて、「何かSDGsやってる?」といった会話が飛び交っていると聞きます。個人の日常レベルでも、消費者は、レジ袋削減、過剰包装の削減、水やエネルギー資源の節約や汚染の防止、適切なゴミ処理、など、色々な努力をしています。

 繊研新聞に 『 “ブランド” として取り組むサステイナビリティを考える――責任ある製品づくりと循環型FBモデルの確立を』 のテーマで、読者の皆さんに考えて頂きたいことを書きました。“ブランド” として、とした理由は、消費者の参画無しでは進展が困難なこの “持続可能な世界”をつくる運動が、消費者が直接認識する個々の“ブランド”の姿勢と行動に大きく依存するからです。(2021年5月10日付。以下に添付)

 特に強調したかったのは、「循環型のファッション・ビジネスのモデルを目指そう」 です。詳細は記事と、米国デザイナーのアイリーン・フィッシャーの考え方、「服に3つの命を」を願う尾原の想い、そして欧州最大のEコマース企業 Zalando(ザランド) の最新の取り組みのご紹介で、ご覧ください。

(繊研新聞 サステイナビリティ 尾原寄稿 2021.5.10 掲載)

■アイリーン・フィッシャーが 掲げるビジョン  「服に3つの命を」

コンセプトは、次の図にあらわした通りです。(アイリーン・フィッシャーのホームページの図に、尾原が日本語とプロセス図を加筆)

 

 アイリーン・フィッシャーは、1984年、日本の着物のシンプルさ・自然美・ドレープに魅せられ、また長い間丁寧に愛用する考え方に感銘し、インテリア・デザイナーから転職、350ドルの貯金を元手に、大人のキャリア女性向け、着回しの良い高品質ブランド、として起業しました。以来、「ファッションが若い人に偏重し、変化を追いすぎる」、「主役は着る人。流行に振り回されないタイムレスなスタイルを」を信条に、サックスやノードストロムなどの高級百貨店や自社店舗でビジネスを展開する、売上200億円超の企業です。

 サステイナビリティにも早くから取り組み、オーガニック素材や生産ロス削減などに注力(島精機のホールガーメント機も早くから活用)。  自社製品の不用品回収も2009年に開始、以来150万点を回収し、必要な補修や再加工の後、自店で再販。また、補修不可能なものは、ファイバーにほぐしてフェルト化した生地や製品に再生するなどの、リサイクルをしています。

 「服に3つの命(ライフ=生命)を与えよう」、が同社のビジョンです。第一の命(新品)、第二の命(修理やリメイクでの再利用)、第3の命(原料にリサイクル・再生)、による、循環型の物づくりと販売、そして顧客満足(ファンづくり)を実践するのです。顧客(消費者)を啓蒙し、巻き込むことも重視し、2018年にはニューヨーク(ブルックリン)に、大型の工房(消費者のリメイクなどの研修の場)をもつ旗艦店を開きました。

 サステイナビリティを目指すファッション・ビジネスにおいて、自社ブランドを大事にする企業が出来ること、やるべきこと、を、まさしく実行しているアイリーン・フィッシャー。華々しい広告とは無縁の会社ですが、ぶれない信念とそれを実現して行くビジョンと行動力を熱烈ファンが支援する、新時代の“ブランド”と言えるでしょう。

 

■    Zalando (ザランド) が 顧客のための “サステイナブル・フィルター”をアップ

 ヨーロッパ最大手ECサイト 「ザランド」(Zalando)は、ドイツを本拠に欧州全域に展開する2008年創業のECマーケットプレイスです。米国ザポスのビジネスにヒントを得て、靴のサイトとしてスタート、現在ではアパレル・アクセサリーなど2500ブランド扱う、売上 80億ユーロ(2020年、約1兆円)のビジネスです。

 サステイナビリティへの取り組みで注目したいのは、今年4月にローンチした“サステイナブル・フィルター”。これは顧客がサイトにアクセスすると、その個客が選んだ“フィルター(選択肢)”を通じて、お薦めブランドなどが登場する仕組みですが、これに“サステイナブル・フィルター”が加わったのです。具体的には、個客のサステイナビリティに関する価値観/優先順位で、「動物愛護」、「エミッション(CO2排出量)」、「原料再利用」、「水資源保全」、「労働者幸福」、などの中から個客自身が重視するフィルターを設定し、それをクリアしているブランド/商品が提示される、という仕組みです。

 これに先立ち同社は、2020年5月に、取引のある2500ブランドに、環境と社会への影響に関する必要な情報のすべてを提示するよう求めました。もしも基準を満たさない場合は、小売業者はすべての取引を中止される、と。このイニシアチブ実行のため、「ザランド」はパートナー企業に、2023年までの3年間の猶予を与える、としています。評価ツールとしては、米国カリフォルニアの「サステナブル・アパレル連合(Sustainable Apparel Coalition」が提供する、企業向けのバリューチェーン測定ツール、「ヒッグ・ブランド&リテールモジュール(Higg Brand and Retail Mondule)」を使用し、各ブランドを、エコロジー、人権、および公平性の観点から分析して各小売業者のパフォーマンスを評価する、というものです。

 ネット販売で、個客(顧客)の利便性のために各種のフィルターを設定している企業は、欧米には相当数あります。Zalandoでも、以前から、サイズ、ブランド、色、マテリアル(カシミアなど)、オケージョン、特別サイズ(Standard、Maternity、Plus size、Petite、)、コレクション、スタイル(boho、dress、casual、elegant dress、sporty、)、新規入荷(今週、先週、今月)、キャンペーン、配達(Prime、自社配達、店舗から、)、などがあり、このフィルターを選んでおくことで、顧客の閲覧がす速く、無駄なく行われることを狙っているのです。

 日本でもEコマースが拡大しつつありますが、OMOなど企業側のメリットを考えるばかりでなく、顧客にとって真に便利な仕組み、例えばこの“フィルター設定”などが進むことを期待するものです。

 サステイナビリティへの企業の取り組みは、背後のサプライチェーンばかりでなく、顧客との接点で出来ることが、色々ある。“ブランド”を大事にする企業には、是非、実践していただきたいと願っています。                                                                                                                                                                                        END

 

 

NRF2021リポート ③  < 2021年 小売の10トレンド >

 2021年の小売業トレンド予測を、NRF(米国小売業協会)が大会前の12月11日に公表しています。NRFリポート③ではそれをご紹介しましょう。コロナ襲来からほぼ1年。ネット販売の急成長 (2021年1月の米国ネット販売は前年対比29%アップ)、DX =デジタル・トランスフォーメーションの急進展 (NRFは10年分を9か月で達成と)、働き方の変革と起業意識の拡大、などをかみしめながら、この10トレンドを次なる飛躍の鍵として、考えてみたいと思います。

 NRFはまず、昨年同社が予測した2020年小売りトレンドをレビューし、「“小売サプライチェーンの大変革”、“再販/リコマース”、“顧客ジャーニー向上の革新的手法開発”、の予測は的中した。しかし2020の最大の学び(=変革)は、Eコマースへの急激なシフトであった。「消費者は意欲的にネットショッピングに取り組み、小売業はテクノロジーを駆使して新アプリなど顧客ニーズに対応する新手法で顧客ニーズに対応。コンタクトレスやフリクションレスの言葉が拡散、従来の壁を破る企業が勝利しつつある」、と解説しています。

小売2021予測10トレンド:継続するもの・変わるものは?

以下に、NRFによる予測トレンドと解説を紹介します。加えて尾原のコメントも<加筆>しました。(画像はフルサイズ・ファッション DTCのHENNING)

①    DTCが新カテゴリーになった ニンブル(素早く軽快)な彼らは、それぞれの「パーパス(存在目的)」をテコに、顧客のこだわりに照準を当て、完成形へと注力中。完成型といえる、Stitch Fix, Glossierを目指して、Allbirds Casper が躍進中、と。  尾原コメント<コロナ拡大で消費者の意識や働き方が変容、新たなニーズが生まれている。命と生活への価値観が変わる中、失業などの影響もあり、起業する人が急拡大している。すべての成功は難しいだろうが、失敗が次の飛躍になることも、、>

②     未来はマルチチャネルへ ブランドは異業種、異業界とのパートナーシップ拡大。Everlane Birdiesがノードストロムと連携したり、Headspace Spotifyとパートナーを組んだり。コロナのおかげでトップが目覚め、スピード、復元力、対応力向上のため5Gなどへの投資が拡大、今後も継続。  <社で進めるオムニチャネルとは別な次元で、マルチチャネル化が進んでいる。テクノロジーの多様な活用もあり、5Gの帯域幅とスピードアップが必要となる>

③   リバース・ロジスティック技術への投資突出 より持続可能なサプライチェーンへ。多くの実験が進む=ダークストア(店を商品販売でなく在庫フルフィルメントセンターに)、ゴーストキッチン、マイクロ・フルフィルセンター、SCが物流センターになる、など。返品コストを軽減する方策も。サステイナビリティは2020年やや失速気味だったが、CO2削減もふくめ、長期的には主要目標。  <サステイナビリティでは欧州に後れを取っている米国だが、パンデミックの落ち着きと共に、戦略的課題としての取り組みが、社会意識の強い企業の主導で進むと思われる>

④   ライブストリームが舞台中央へ デジタル11エコシステムの急成長分野。2021年には倍増=$1200億になる、と。デジタル・サヴィーな顧客は、商品だけでなくブランドとの繋がりを求めている。  <リアルでなくても、あたかもリアルのよう流れる動画で、双方向のコミュニケーションをしながら、気に入れば即購入ボタンも押せる。ブランドと個客のつながりが深くなれば、非常に大きな販売/エンゲイジメント手段になる>

⑤    ロボット活用 食品配達・自動配達車はもはや新規ではなくなったが、トップの座を占めるのはまだ。実験加速、コスト低減が期待される。店内ロボットはビジネス課題解決ため、データ収集とプロセス構築へ。ドローンは省エネ、サステイナブル手段として可能性大。  <ここでも多くのスタートアップが創意工夫の開発を進めている>

⑥    SCは顧客心理に合わせ進化を コロナ後に顧客を取り戻すには、エキサイトメント不足で旧態的な百貨店アンカーの重層構造モールではダメ。顧客心理に合致する小型環境が重要。SCをシニアハウスや医療施設、コミュニティカレッジなどへの転換するのも一案だが、地元の反発がないように。  <消費者の意識はローカル(地元)に向いている。地域密着で住民のハブとなるSCを> 

⑦    タッチフリー技術が主流に バーチャル試着室、デジタル鏡とSNSをつなぐインタラクティブでパーソナルな体験など。ARによるバーチャル試着は返品率の減少に貢献。資生堂のお肌チェック、日本企業の足で踏む自動販売機、アマゾンのpalm(=手のひら)支払いAmazon Oneは、認知、入力、支払いが1アクションで完了、など。  <コロナ収束後も、便利さとともに衛生観念を身につけた消費者は、コンタクトフリーを好むと思われる>

⑧    ソーシャル・コマース(SNS)の成長が他業態を超える 面談困難の中、SNSが特権感覚、買物と支払をフリクションレスで行える手段として拡大する。2020~2024間に年平均上昇率31%、売上額2兆ドルになるとの予測も。シームレスの新たな意味に。フェイスブック、インスタグラム、Twitch、TikTok、ピンタレスト、ショッピファイ、などがリーダー。  <拡大するSNSの世界的支配力には、恐怖心すら感じるが、良い面を活用しながら必要な改善や規制を進めねばならない

⑨    オンデマンド生産で顧客対応 これまでも言われてきたがあまり実行されなかったオンデマンド生産は、顧客のニーズに合わせ受注生産するので在庫のミニマル化が可能。サステイナビリティの潮流にも合致し、地元生産拡大の可能性も秘めている。優れたデータとそれを最適に活用するテクノロジーが課題。ZARAが見本だが、DTCも素早く学習中。  <日本は島精機のホールガーメント編み機などのテクノロジーや産地の製造技術を持っている。これを何とか活用する体制を、小規模メーカーが消滅しないうちに確立し、世界をリードしたい。それには発想の転換とDXが不可欠>

⑩    デジタル・トランスフォーメーションは出発点 2020は、必要に迫られて、ネット購買、カーブサイドピックアップ、フリクションレス支払い、その他の多様なアプリの開発が進み、9か月で10年分のDXを達成した。これは出発点。2021はこれを、いかにオムニチャネル・エコシステムに組み込み収益性に繋げるかだ。EC・店舗・SNS の全てで顧客とスムーズに繋がることができる企業が、消費者にとってのオムニ存在となる。鍵は5G。リモートワークで学んだとおり、安定した途切れない通信と帯域幅が不可欠だからだ。  <米国で急進したDXは戻ることのない新たなエコシステムづくりへと進化を続けている。そのスピードの速さ。またそれが、血流でいえば、大動脈レベルではなく、毛細管レベルの活性化、つまり消費者と商品/サービス提供者間の細かなインタラクションで起こるようになっている。5Gの重要性もあらためて痛感する>

 デジタル・トランスフォーメーションでは大幅な遅れを取っている日本が、一日も早く新たな発想とテクノロジーの活用で、時代の先を見据えたエコシステム構築に取り組むことを切に願っています。                      End