7月22日に開催された「プロジェクトWEF」のキックオフ・シンポジウムは、表参道の東京ウィメンズプラザ・ホールに250人の参加者があつまり、熱気にあふれたイベントになりました。男性も企業幹部を中心に40名以上が参加下さいました。
尾原のWEFの趣旨説明の後、基調講演者として、高島屋代表取締役専務 肥塚見春専務がご登壇。「女性のエンパワメントで社会を変える」のテーマで、日本の百貨店業界で初めての代表取締役のポストにまでステップアップさせてきた経緯、15 回の異動を含むご自分の経験とそれぞれの場で学んだ教訓、そして結婚・出産・育児と仕事との両立について、非常にリアルに話されました。
入社 2 年半で、女性ばかりの新事業「セサビ」を担当させられ、買い取りバイイングを学べる人が周りに居なくて、仕入先のマンションメーカーに教えてもらった事。家庭の事情で米国に居住するため一時退職したが、それを残念に思った高島屋の石原一子氏(後に日本の一部上場会社で初の常務になった女性)が、再雇用制度をつくってくれたおかげで、その後、再復帰が出来た事。新宿高島屋店で下着のマネジャーを担当した時は、小さい売り場でもビジョンを持つ事が重要と考え「伊勢丹に勝つ」という目標を掲げてグループを鼓舞し、瞬間的ではあったがそれを達成し、皆の意気が揚がった事。クレジットカード情報の漏えいなど、多くの難題にも取り組んだが、その都度、真摯に誠実に対応し、それが信頼を築き周りの支持を得る重要な態度であることを痛感した事。等など、息つく暇もないような迫力あるお話しでした。
キャリアを通じて得た教訓 (という言葉は使われませんでしたが) として話された事を挙げてみましょう。
*小さな売り場でもビジョンを持って仕事をする
*つらいときでも笑顔で売り場に立つ。部長の機嫌はそのまま売り場に反映する。
*経営には、温かい気持ちが必要。しかしクールな判断ができないといけない。
*組織に船頭は二人はいらない。自分の本意でない 事を部下に指示せねばならない ときも、「私はそうは思っていない」とは、絶対に言ってはならない。
*会議は白か黒かはっきりさせるもの。いつ、だれが責任者なのかまで、明確にする事。
「次回までに検討する」は絶対にダメ。
問題解決に当たってWin-Winのお話もありました。岡山店に赴任し大改装に取り組んだ際、その経費を確保するのに、2億5000万円の赤字会社だが、「赤字をもう250万円増やしても、改装の効果が上がれば、、、」と折衝されたとのこと。
女性が働く事に関しては、冒頭に、「健康が最重要事項」 と言うお話しがありました。また、まとめとして、「自分がここまで来たのは、将来を見据えてやってきた訳ではない。目の前に出てきた仕事に対して、何とかせねば、とやってきたら、ここまできた。」また、「つらい仕事も、やりがい、生きがいにつながる」ことを強調されました。
肥塚専務のお話は、女性のワークライフバランスについて、状況に対応しながら、しなやかに、かつ、しっかりと働くことを、教えて下さったものと思います。
肥塚専務のような女性経営者を、私も目指したいという声が、多く聞かれたことも、主催者として嬉しい事でした。 (次回は、パネル・プレゼンテーションからのメッセージ)