2014年 7月 の投稿一覧

<女性活躍支援の会 「プロジェクトWEF」 キックオフ・シンポジウムからのメッセージ>

 722日に開催された「プロジェクトWEF」のキックオフ・シンポジウムは、表参道の東京ウィメンズプラザ・ホールに250人の参加者があつまり、熱気にあふれたイベントになりました。男性も企業幹部を中心に40名以上が参加下さいました。

 尾原のWEFの趣旨説明の後、基調講演者として、高島屋代表取締役専務 肥塚見春専務がご登壇。「女性のエンパワメントで社会を変える」のテーマで、日本の百貨店業界で初めての代表取締役のポストにまでステップアップさせてきた経緯15 回の異動を含むご自分の経験とそれぞれの場で学んだ教訓、そして結婚・出産・育児と仕事との両立について、非常にリアルに話されました。

 入社 2 年半で、女性ばかりの新事業「セサビ」を担当させられ、買い取りバイイングを学べる人が周りに居なくて、仕入先のマンションメーカーに教えてもらった事。家庭の事情で米国に居住するため一時退職したが、それを残念に思った高島屋の石原一子氏(後に日本の一部上場会社で初の常務になった女性)が、再雇用制度をつくってくれたおかげで、その後、再復帰が出来た事。新宿高島屋店で下着のマネジャーを担当した時は、小さい売り場でもビジョンを持つ事が重要と考え「伊勢丹に勝つ」という目標を掲げてグループを鼓舞し、瞬間的ではあったがそれを達成し、皆の意気が揚がった事。クレジットカード情報の漏えいなど、多くの難題にも取り組んだが、その都度、真摯に誠実に対応し、それが信頼を築き周りの支持を得る重要な態度であることを痛感した事。等など、息つく暇もないような迫力あるお話しでした。

キャリアを通じて得た教訓 (という言葉は使われませんでしたが) として話された事を挙げてみましょう。

            *小さな売り場でもビジョンを持って仕事をする

              *つらいときでも笑顔で売り場に立つ。部長の機嫌はそのまま売り場に反映する。

              *経営には、温かい気持ちが必要。しかしクールな判断ができないといけない。

              *組織に船頭は二人はいらない。自分の本意でない 事を部下に指示せねばならない                            ときも、「私はそうは思っていない」とは、絶対に言ってはならない。

              *会議は白か黒かはっきりさせるもの。いつ、だれが責任者なのかまで、明確にする事。

                            「次回までに検討する」は絶対にダメ。

 問題解決に当たってWin-Winのお話もありました。岡山店に赴任し大改装に取り組んだ際、その経費を確保するのに、25000万円の赤字会社だが、「赤字をもう250万円増やしても、改装の効果が上がれば、、、」と折衝されたとのこと。 

 女性が働く事に関しては、冒頭に、「健康が最重要事項」 と言うお話しがありました。また、まとめとして、「自分がここまで来たのは、将来を見据えてやってきた訳ではない。目の前に出てきた仕事に対して、何とかせねば、とやってきたら、ここまできた。」また、「つらい仕事も、やりがい、生きがいにつながる」ことを強調されました。

 肥塚専務のお話は、女性のワークライフバランスについて、状況に対応しながら、しなやかに、かつ、しっかりと働くことを、教えて下さったものと思います。

 肥塚専務のような女性経営者を、私も目指したいという声が、多く聞かれたことも、主催者として嬉しい事でした。   (次回は、パネル・プレゼンテーションからのメッセージ)

<ファッション業界の女性活躍支援の会 「一般社団法人 WEF 」 がスタートします>

ファッション関連分野で働く女性の活躍を支援し推進する会、WEFWomen’s Empowerment in Fashion)が立ち上がりました。設立したのは、その想いの熱い女性有志たち。趣旨に賛同くださる業界リーダーのご支援を得て、「一般社団法人 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション」としての設立です。名前が長いので、「プロジェクトWEF」を呼称にしています。皆さんの応援をお願いします。  (ホームページ www.wef-japan.org  素敵なロゴは、PAOS(銀座松屋や伊藤忠のロゴをデザイン) の 中西元男先生のもと、新村則人氏がデザインして下さいました。)

  ここでいう「ファッション関連産業」の範囲は、アパレルに限らずビューティやホームも含む、広義のライフスタイル産業です。顧客の80%、働く人の70%が女性。にもかかわらず、意思決定をするポジションに居る女性は極めて少ない。この現状に、風穴を開けたい、と願っているのです。

   WEFの目的は、ファッション業界の女性リーダーを育てること。重視するのは 3 点です。

1. 女性の成長・成功が組織の主要ポストにつながり、企業と産業の発展に貢献するよう支援する。   

2. 女性が主体性を持ち、豊かな人生とキャリアを創り上げるパワーを醸成する。その環境も整える。

3. ファッション業界におけるロールモデルを育て、女性の啓発につなげる。

  ミッションステートメントは、

        「女性のエンパワメントで、ファッションと社会を変える」

        「女性が仕事を通じて自己実現し、幸せを追求する」

        「女性が子育てをしながらも、活躍が出来る社会をつくる」 

 7 18 日付の日経ビジネス・オンライン <キーパーソンに聞く> に、私のインタビューが掲載されました。( http://nkbp.jp/1pcV31A ご参照)

<必要なのは女性管理職ではなく女性リーダーです> が見出しです。

従来の、男性中心社会の組織を前提にした 「管理職」(管理型のマネジャー)ではなく、新たな商品やビジネスの創造をリードする 「リーダー」を育てたい、という WEFに取り組む想いを語っていますので、見て下さると嬉しいです。 

  722日には、WEFキックオフの公開シンポジウムを、㈱髙島屋 代表取締役の肥塚見春専務を基調講演に迎えて開催します。次回、そのハイライトを報告します。

「ファッション・ビジネスにおける留学セミナー」 第 3 弾: 7 月 12 日開催

 「ファッション・ビジネスにおける留学の意義」をテーマとするセミナーを開催します。

 日本FIT会では、ファッション・ビジネスにおける留学を推進するために、2012年から「FB留学セミナー」を実施しています。その 第3 弾 が、712日(土)1001540で開催されます。場所は六本木の、ハリウッド大学大学院教室です。講師はすべてFITの卒業生(1名は Parsonsの 卒業生ですが、この秋からFITGlobal Fashion Management という大学院コースに、ユニクロの奨学金で留学する人)です。(セミナーの詳細は  http://www.fitkai.jp/ でご覧ください。写真は 2012年開催の留学セミナーのパネル・ディスカッション風景)

 日本からの留学生が減っている事が、問題になっています。ファッション・ビジネス関連でも、ニューヨークのFITでは、ピークの 2005 年の 164 人から見ると 70% 以上減ってしまっています。理由は、学生の内向き志向や費用負担だと言われます。しかし、ますますグローバル化が進むこれからの時代、日本企業の成長・成功の鍵が時空を超えて閉ざされた日本市場の外へ出てゆく事、と言われる時代に、次代を担う若者には、世界へ出て、異文化の中で自信を持って仕事を進める能力を身につけて欲しいと思うのです。

 有難い事に、ファーストリテーリング社が、TOMODACHI-UNIQLOという奨学制度を 2012年に設置されました。これは、毎年 3 名の奨学生をFITParsons、およびStanford3つの大学院(マスター・コース)に1名づつ派遣するもので、学費・渡航費等の全額を授与する贅沢な奨学制度です。ぜひチャレンジをして頂きたいと思います。

http://www.fitkai.jp/pdf/tomodachi_201212.pdf 参照)

 今回の「ファッション・ビジネスにおける留学の意義」の講師は、講演「私を起業させたFITでの学び」が、ニューヨーク在住のハンドバッグ・デザイナーの中野和代さん。パネラール・ディスカッション「私の留学前、留学中、そして卒業後」の講師は、㈱ユニクロのグローバル・マーケティング部所属の北村文人さん(FITディスプレイ&展示デザイン科卒)。㈱コックスのマーチャンダイザー、渡邉真理子さん(パターンメーキング技術科およびファッション・デザイン科卒)。フリーランスのコンサルタント、石川直子さん(ファッション・マーチャンダイジング&マーケティング科および広告&マーケティング・コミュニケーション科卒)。そして㈱ブルックスブラザーズジャパンのアシスタントバイヤーの保田優衣さん(Parsonsファッション・マーケティング科卒)です。

 経済協力開発機構(OECD)等のまとめによれば、日本人の海外留学生は、ピークだった 2004 年の 82945 人から、2011 年には 57501 人と3 割減ったそうです。先日の日経新聞の報道では、「新入生 留学必修に」の見出しで、一橋大学や立教大学・早稲田大学が、新入学生全員を留学させる方針にした、と報道しています。(73日付夕刊)

 ファッションは、多くの産業の中でも、グローバル要素が最も大きいビジネスです。是非このセミナーを利用して、視点を高く、視野を広く、して頂きたいと願っています。