4年をかけて書き上げた、『 Fashion Business 創造する未来』 の出版を祝う会が11月15日、アニヴェルセル表参道で開催されました。15名の業界リーダーが発起人になってくださり、150名の方々が参加下さった、誠に光栄で有り難い会で、文字通り、感謝・感激でした。多士済々の顔ぶれで、「久しぶりにいろいろな方に会えた」、「心温まる会だった」、などのコメントをありがたく拝聴しました。
発起人の皆様、ご多忙の中 お出かけ下さった皆様に、心からの御礼を申し上げます。
三越伊勢丹の大西洋社長のご挨拶につづき、パーティの前に、この本を書いた想いを語れとのことで、25分のミニ講演をさせて頂きました。それは一言でいえば、「世界で〝産業革命以来″といわれる 大きな変革が起きている中で、日本のファッション産業が、〝周回遅れ″というべき、後れを取っている。このままでは、日本のFBは〝ゆで蛙になる″という危機感だ」 と申し上げました。
<講演の要点は、次の3つです>
1.未来は創るもの――未来は予測するものではなく、創造するもの
未来は、過去の歴史と今日の決断・行動の延長戦にある→ 未来は創るもの
特に現在のような変革期は → 新たな秩序・ビジネスモデルを創る 大チャンス
キーワードは、「デジタル化」 と 「ディスラプション」(従来の秩序の破壊)
「ディスラプション」の事例 (本の第1部 パラダイム・シフトで紹介)の象徴的なものは
Uber= 個人が提供するオン・ディマンド/シェアリングのタクシー Warby Parker= 中間業者を徹底排除したメガネの「ネット+」 のマーケティング Rent the Runway=ファッションを、レンタルやシェアリングにより 「個人財」から 「社会財」へ
◆ 肝に銘じるべきこと=「自らをディスラプトしない限り、他者にディスラプトされる」
2.時代は 「個人の時代」 に移行 ――デジタル技術がそれを可能にする (スマホ一つで、、、)
20世紀は、企業/大組織 が消費者を動かした時代
今(21世紀)は、消費者(個人)が企業/産業を動かす、あるいは自らビジネスを始める時代
FBを歴史のコンテキストにおいて見ると、いくつかの明確なシフトがある (第2部 価値創造の変遷)
1)「マズロー欲求の 5段階説」 ――第5段階の「自己実現」に入った人が増えている
1970年代 ワールド創業者 畑崎広敏氏から鋭い質問が→「第5段階になったらFBどうなる?」
今、我々はまさしく「自己実現欲求」の時代に居る→ 人間の欲求は留まることなく変化。
◆ ビジネスは欲求の変化に合わせ進化すべし ――それが出来ていない
2) 「価値創造の進化」 ――1960年代から10年刻みで見たチャートが興味深い
価値創造の主なプレイヤーと創造された価値の変遷は、20世紀では
主なプレイヤー= 製造業→アパレル卸→DCブランド→SPA
創造された価値= おしゃれな既製服→流行→ブランド/個性→価値ある価格
21世紀に入って―ここから、企業主導→ 消費者(個人・個客)主導へ移行
2000年代:主要プレイヤー=ネット/Luxブランド→ 創造された価値=利便性/高質な体験
2010年代:主要プレイヤー= 生活者/社会意識企業→ 創造された価値=社会善/感動
他の2つのチャートも吟味して読んでほしい
3)ソリューション(問題解決) vs エモーション(個人の感情・感動)の価値
4)ファッション市場を拡大する3つのけん引力=High Style、High Performance、High Devotion
◆ 「個人の時代」: キーワードは パーソナル化 &サービス化
パーソナル化=個人のニーズ/ウォンツ → AI (ビッグデータ/深層学習)
サービス化=モノをサービス化する
企業の戦略は 顧客セントリック & オムニチャネル
第3部は、「産業構造がどう変わる」、「日本企業が今すぐ取り組むべきこと」を書いている
→ EC化とデジタル化、オムニチャネル、など
3.グローバル時代の 日本からの発信――日本は優れた資源・資産を持っている (第4部)
=素晴らしい自然、自然を愛で、自然と共生する精神・哲学・思想→ 日本のDNA
そこで育まれた文化の厚み 、「もったいない」精神、用の美、、、
世界でこれだけの、資産を持っている国はない →日本に自信を持とう
◆ これを、企業も、個人も大事にし、成長・発展のパワーにすべし。
以上、講演で強調したポイントを書きました。 本は 4部に分けて書かれています。是非読んで、行動を起こしてください。
① FBのパラダイム・シフト
② 価値創造の新たな方向とファッション
③ FBの未来構造と、FB企業が今すぐ取り組むべきこと
④ グローバル化の中で、日本企業と個人の成長・成功の課題
読んで頂きたい方:は、未来を創る発想と 勇気・行動力のある人。特に、未来を担う若者です。
ご出席くださった方に、お願いしました。 後輩、そして、これはという若者を啓発して頂きたいと。
「未来は、予測するものではなく、創るものである」。〝創るのは(誰かが、ではなく)、あなた″、そして〝いずれ、そのうち″ではなく、〝今″、であることを再度強調したいと思います。