明けましておめでとうございます

 

 

新しい年、そして新しいディケード2020年代の幕が開きました。

本年の皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

世界を取り巻く環境は、政治・経済・社会のどれを見ても、変化がますます激しく速く複雑に、そして予測しがたいものになっています。第 4 次産業革命といわれる大きな変革のなか、様々なディスラプション(創造的破壊)が引き続き登場する年になるでしょう。

また今年は、オリンピックが64年ぶりに東京で開催される年。世界のアスリートが繰り広げる熾烈な闘いと、限界への挑戦が生む新記録、そして観客と一体になったイベントとしてのオリンピック、パラリンピックが生み出す感動を思うと、今からワクワクします。

ファッション・ビジネスは、過去20年余にわたって厳しい変化にさらされてきました。にもかかわらず大半の日本企業は、それまでの成功体験と旧態依然のビジネスモデルから抜け出せないまま、デジタル化や個客主導のサプライチェーンやプラットフォーム構築などの革新に遅れて、今日に至っていると言えます。

しかし2020年代、私は日本のファッション・ビジネスが、新たな展望で前進する年であると考えます。それは、日本のリーダー企業が、ようやく、AI による深層学習などのデジタル・テクノロジーや、国連の提唱(SDG’s=持続可能な開発目標)に代表されるサステイナビリティ(地球環境保全)、あるいは働き方改革や人間性の回復、などの世界潮流に、本格的に取り組み始めたと感じるからです。

今年こそ、3年前に 拙著 『Fashion Business 創造する未来』(繊研新聞社) で提示した未来への方向に、スピードをもって前進する年になってほしい、と切に願っています。

この 3 年の間にも、米国を中心とする世界の革新企業は、驚くような挑戦をしています。たとえばこの本の冒頭、第 1 章で、“ディスラプションの典型事例”として取り上げた、Rent the Runway(ファッションのレンタル/シェアリング・ビジネス)は、その後も急成長を続け、商品領域拡大(ビジネスウェアや日常着、インテリアへ)ばかりでなく、ビューティの大手企業とのパートナーシップ、シェアオフィスへの店舗展開、そしてホテル(それもファッション志向のW ホテル)とのタイアップで、出張先でホテルにチェックインすると事前に選んだ服が待っている、といったレンタルを可能にしています。まさしく、“服を所有しなくてもおしゃれが出来る”時代を実現しているのです。

恒例の米国小売業大会(NRF Big Show 1月12-14日開催)に、今年もニューヨークまで出かけます。胸がときめくような革新事例や新しいテクノロジーを見聞きできるものと、期待しているところです。

2020年が皆様にとって、革新と輝きに満ちた1年になることを、祈っています。