2022年 12月 の投稿一覧

2023年 明けまして おめでとうございます。

本年の皆さまの ご多幸とご健康をお祈りいたします。今年こそコロナ感染が収束し、世界情勢でも 平和へむけた確かな歩みが始まることを 心から祈る元旦です。

ファッション・ビジネスでは、サステナビリティとファッションとの共存という大命題に、本格的に取り組む年にしなければ、世界に大きく後れを取ることになる。これを業界あげて推進したい、と願っています。

今年の干支は、癸卯(みずのと う/きぼう)

東洋思想研究家の田口佳史氏の解説によれば、

「癸」=みずのと、「揆」はものを「はかる」という意味で、はかるには規準が必要となることから、「のり」 規則の則の意味ともなり、諸事を取り仕切る意味ともなる。国を取り仕切るは「総理」、各企業を取り仕切るは「社長」、これみな「揆」である。 したがって今年はトップが諸事 取り仕切れるかが問題となる。取り仕切れなけ れば「一揆」ということになる。

「卯」=う は、真ん中の二本の棒が門柱を表わしており、これまで閉じられていた門が、今年はじめて開いた。開いてみれば中は、いまだ未整備、雑草や樹木の 無駄におい茂った野原がある。これを整備開拓して有効地にする意味がある。

「癸卯」では、何らかの新しい可能性が出てくるが、これを見事に開拓出来るか どうか。また、正しい道理に則っとり、諸事が進めば、順調な年にもなろうが、 少々でも誤まれば混乱ともなり、一揆ともなる。 

2024年の干支 「甲辰」 (きのえ たつ/こうしん)は、天災の意も読めるので、大混乱になる。そこで何とか 2023年を平穏に乗り切りたいものである。

とのことです。

どんな年になるのか? ファッションのワクワク感や情緒的価値を大事にしながら、サステナブルでもある産業にする、という、新たな「卯」の門を開き、これを整備開拓して〝有効地”にする年になることを念じています。

今年もどうぞよろしく、ご支援とご指導をお願い致します。

<ものづくりのイノベーションー いまこそ、その時>

 繊維(ファイバー)を直接身体に吹き付けて、服をつくる。蜘蛛の糸の原理から人口糸を作る。自動成形編機で、糸から製品までを一挙に国内生産する(裁ち落とし生地の無駄もない)。

アパレル製品の「ものづくり」で、イノベーション(革新)が少ないことを残念に思っていましたが、色々な新規の試みが登場しています。これまで、伝統的工程綿(わた)から糸を作り、生地に編織し、裁断・縫製して製品にする。この手法が明治時代から、抜本的な革新もなく、継続されてきました。その結果、サプライチェーンは低賃金の海外途上国へ長く伸び、国内生産は激減、他方、過剰在庫・大量廃棄も見過ごせない状況になっています。

 ファッションを取り巻く環境が激変し、サステイナビリティ(持続可能性)の観点からも、ファッション産業の革新が不可欠です。とくに、これまで「創・工・商」の内の「商と創」中心であったイノベーションを、今まさに、「工=ものづくり」の仕組みを変革するイノベーションにする時だ、と考えます。つまり、綿(わた)→糸→編織生地→裁断・縫製の、長いプロセス。多くの企業が関わり機能分担し、コストも環境負荷も多大なサプライチェーンを構築している。これを、短く・速く・スリムなプロセスに大変革して、地産地消や無駄の排除に取り組むべし。それは発想の大転換で可能だ、と、言いたくて、「モノづくりのイノベーション」 の小論を書きました。

 掲載紙の繊研新聞から承諾を頂いた寄稿文です。

繊研新聞 尾原寄稿『モノづくりのイノベーションーー「プロダクト(工業発想)」、「サステナ発想」、「クラフト発想」で』(2022.12.1付)