NRF2021リポート ⑥    <サステイナビリティが パンデミックからの回復の鍵>

 サステイナビリティ(持続可能性)は、国連が推進するSCGs(持続可能な開発目標)のアジェンダを見ても、その重要性と、カバーする範囲の広大さがわかります。地球環境が、未来へ向けて私達が生きて行けるものになって初めて、経済活動も成り立ちます。サステイナビリティは、とくにファッション製品や生活雑貨のビジネスでは、サプライチェーンの長さや原料や加工プロセスが多岐にわたり、関係する企業数も多く業界構造が複雑であることから、各段階に非常に多くの課題があります。

 2021年NRF(米国小売業協会)の大会では、サステイナビリティを直接テーマとするセッションは、期待したほど多くはありませんでした。企業がコロナ対応とビジネス存続へ懸命に努力する中で、第一優先課題に持続可能性を置く余裕がなかったからだと推測します。しかし今回のコロナパンデミックで、その遠因が自然(生態系)破壊であるとの認識が広がったこと、また人種差別問題への抗議運動 Black Lives Matter (「黒人の命を守れ」)などもあって、社会的問題(広い意味でのサステイナビリティ)解決への意識は、コロナ襲来でかえって高まる結果になっています。

 社会問題を大きく取り上げたセッションとしては、『ホーム・デポとアルタ・ビューティによる社会的責任の戦略が真の関係性を築く』 と題する両社のCEOによる基調講演があり、また清涼飲料水大手ペプシコの元CEOで著名な女性経営者イントラ・ヌイ氏による、『 持続的成長とビジネス目標のバランスーー破壊的変革のかじ取り:社会経済コスト』 もありました。

 環境問題としてのサステイナビリティは、戦後の高度成長時代に直面した「公害」問題で浮上し、気候変動や生態系破壊をもたらす地球温暖化ガス(CO2)の問題に進展、そして人間の欲望が生み出す資源の無駄遣いや大量廃棄問題へと、移行・拡大してきました。生物多様性(biodiversity)も大きな問題になりつつあります。そしていま、これらの根源としての、人々の消費や生活に関する意識と行動が問題になって来ました。

『サステイナビリティは、小売りの風景をどう変えつつあるか』

 NRF 2021大会では、世界売上第2位のファッション小売企業H&Mと 世界的な家具・ホーム関連小売企業イケアの幹部がこのテーマで話しました。いずれもスエーデン発のグローバル企業で、業界でも先端を行くサステイナブル志向企業です。司会はWSGN(ロンドン拠点のファッション情報会社)。消費者の意識の変化や、企業のジレンマ(成長と過剰生産・廃棄、理念と利益)も話題になりました。(画像は右から:IKEA社米国サステイナビリティ・マネジャーでのジェニファー・キーソン氏、H&M社米国サステイナビリティ・マネジャーのアビゲイル・カマーゼル氏、司会のブルーンバーグ小売りレポーターのジョーディ・ホルマン氏)

H&Mは年間売り上げが日本円で約2.3兆円を超える、ZARAに次ぐファスト・ファッションの大手です。サステイナビリティに関しては、2013に不要アパレル製品の回収プログラムを開始。2030年までには同社が販売するアパレルの100%をリサイクルまたは有機素材などサステイナブル原料にすると宣言、2020年10月時点ですでに57%を達成したといいます。多様な活動の中には、不要衣料のリサイクルを啓蒙する、「Garment-to-Garmentリサイクル」と呼ばれるデモ機で、製品を持ち込めば、セーター、ベビー毛布、スカーフのいずれかに、11~16ドルで再生してくれるシステムを、2020年秋にストックホルムのH&M店舗に設置しました。5時間で、製品がファイバーにほぐされ、糸になり製品になる、という工程を見ることが出来ます。(画像参照) この生産工程では、水も化学品も使わず、必要に応じて原料(サステイナブルな)を補充するだけ、とのこと。このシステムの規模拡大はまだ見えていませんが、少なくとも消費者の、リサイクルへの教育・啓発に役立つものと思われます。

H&Mのリサイクリング・ミニ工場(デモ用、本拠地ストックホルムに設置 H&Mホームページより)

 イケアは、“家具も自宅で組み立て”からスタートした、もともとエコロジー志向の会社で、現在、世界売り上げが4兆円を超える小売り業です。合理的で汎用性ある高感度のパーツを活用する、コンテンポラリーなDYIで、早くからAR(各超現実)で室内のデザインを変えたり、部屋の写真にいろいろな家具を置いてみることが出来るシステムなどを提供しています。

『サステイナビリティは、パンデミックからの回復の鍵』 

 パンデミックで、人々のサステイナビリティへの考え方は大きく変わったと、パネラー2人は声を合わせました。「消費者は改めてその重要性を意識した。われわれ企業も、持続可能性への活動を、コロナ以前よりスピードアップする必要がある」。 H&Mのアビゲイル・カマーゼル氏は、「H&Mでは 『サステイナビリティがパンデミックからの回復の鍵』 と考えている。 私たちはお客様や供給チェーン企業と協力して、H&Mの服を着たい人と、地球の存続が、安全な方法で行われるように努力中だ」 と言います。

イケアの米国サステイナビリティ・マネジャーであるジェニファー・キーソン氏は、「パンデミックで、家で過ごす時間が長くなり、家との関係が変わった。手持ちの物でも、別な機能や用途を見つけようとしている。たとえば、ダイニングテーブルを机として使うとか。(コロナで)財布が縮小したことも事実だ。イケアでは、お客様の重要かつ緊急なニーズと、コロナ対応という未経験の時代を乗り越える支援方法を考えながら、サステイナビリティを推進している。」

Z世代が先導ー「企業は、社会やコミュニティを、よりよくするために存在する」と

 持続可能性への圧力の多くは、消費者から来ている、と司会のブルームバーグ社ホルマン氏は指摘。氏が質問した 「若者、特にZ世代が、リーダー企業にどんな示唆を与えているか」について、カマーゼル氏(H&M)は、「彼らはデジタルネイティブ。情報へのアクセス方法を、前の世代よりも熟知している。彼らが知りたい事は、服がどこで作られ、原料は何か、それが社会にどんな影響をもたらしているのか、また使用後の消費者の責任は何かだ」。 さらに重要なこととして、「Z世代には、ビジネスの在り方について明確な期待がある。企業は、製品やサービスを提供するだけでなく、その会社の事業が関係する社会やコミュニティを、よりよくするために存在している、と考えている」 と強調します。

「過剰生産・消費」、という サステイナビリティの課題

 企業は、成功するために、成長を目指します。つい最近まで、市場にモノがあふれ選択肢が豊富であることは喜ばしいことした。しかし今、「過剰生産」は大きな社会問題です。パンデミック下で成長カテゴリーとなったホーム関連について、イケアがどう取り組んでいるか? と問われたキーソン氏は、「過剰消費は、ホームに限らず小売業界全体にとっての問題提起だ」 とした上で、「イケアでは、お客様が家庭でよりサステイナブルな生活を送ることを奨励し、情報提供と疑問に答える努力をしています。例えばその製品が、どんな材料で作られているのか? 多機能に使うことはできるか? どうすれば製品の利用寿命を延ばすことができるか? バックエンド、つまり廃棄処理をする最も被害の少ない方法は? 中古市場をどのように管理しているか? などの情報共有です。この取り組みの一環で、イケアは昨ホリデーシーズンに、『ブラックフライデーを グリーンに変える』 キャンペーンを開始しました。 「新たな商品の販売(売上)促進ではなく、お客様がすでに持っている家具で何が出来るかをプロモートしたのです。」

 カマーツェル氏(H&M)は、 “サーキュラー運動(Circular Movement=循環型運動)”が高まっていることに言及しました。“サーキュラー運動”とは、アパレル製品が、ファイバーから糸・生地になり、製品化され、流通・販売されて、消費・廃棄される過程を、リニア(線)ではなく、サーキュラー(円)状にし、循環させることを意味します。「廃棄された衣料品が埋め立てられて終わるのではなく、成長する中古市場に提供されるか、あるいは別の何かに創り直されることです。米国では顧客への教育を通じて、また顧客に非常に正直に向き合うことで、H&M店内のリサイクル・ボックスに不用品を戻してもらうことを奨励している」 と言います。

人種や性差別を超えた フェア(公平)で平等なビジネスを

 セッションでは、人間の不平等という、難しい社会問題についての議論もありました。

 H&Mのカマーゼル氏は、「人種的正義なくして気候正義 (climate justice) はあり得ない」 と述べ、人種だけでなく性別による差別も含むと強調。衣服労働者の80%は女性であるが、経営やリーダー的地位は圧倒的に男性が担っている。 H&Mは、これに対する解決策を現時点では持っていない(例えば、衣服産業が排出するCO2の70%が、生産中に発生するという具体的事実のように把握は出来ていない)。 しかし、H&Mはそれを認識している。 平等は重要。特に様々な文化に触発されるファッションにおいては、これなくしてはフェアなファッションはあり得ない」 と述べています。

経済産業省が「繊維産業のサステイナビリティに関する検討会」を設置

 アパレル製品の生産流通が地球破壊の大きな要因の一つだといわれるようになりました。実際に、アパレルの原材料、輸送などを含め、アパレル関連が世界のCO2排出量の10%を占めるといわれています。この問題に取り組むべく今年の2月にスタートしたこの「検討会」には、私も委員の一人として参加しています。

 サステイナビリティの問題についてはこれまでも、原材料のリサイクルや生分解などの各種イノベーション、製造工程での改善、サプライチェーンの可視化、流通構造の近代化やデジタル化、消費者への省エネ・省資源・再利用やリサイクルの啓蒙、などの努力が行われてきました。今回の「検討会」では、これらを総合的・俯瞰的にとらえ、繊維産業におけるサステイナビリティへの取り組みを促進するため、「供給構造」、「環境配慮」、「責任あるサプライチェーン管理」などについて議論・検討することになっています。これに関してご意見や画期的なアイデアがあれば、是非お寄せください。   End

NRF2021 リポート⑤ <コロナが起こした巨大シフト: 尾原蓉子の繊研リポート>

NRF2021の総括リポートが繊研新聞に掲載されました。(2021年2月24日付け) 

1986年から、一度も休むことなく参加した世界最大の米国小売業大会ですが、今年は初めてのバーチャル開催でした。突然襲ったコロナ・パンデミックの中、戦略転換やDX(デジタル・トランスフォーメーション)に柔軟かつスピーディに取り組んだ米国企業のバイタリティがご参考になれば、と願っています。「テクノロジーは、大動脈から 毛細血管の活性化へ」 も重要なメッセージです。

NRF2021リポート④<女性CEOは 生活者感覚としなやかでスピーディな動員力で>

 NRF2021では女性の講師が40%を占めたとリポートで書きました。

大企業の最高経営責任者(CEO)が多数、また政府高官の女性も登壇しました。代表的講師をあげれば、今回取り上げる、ウォルマー・インターナショナル社、WWインターナショナル社、ビタミン・ショップの3社のCEOほか、ウォルマートCCO (チーフ・カスタマー・オフィサー)やルルレモンCEO、元国務長官で国際的難局をリードしたコンドレッサ・ライス氏や、前ペプシコ CEO で現在も多方面で活躍するインドラ・ヌーイ氏など、多士済々です。ヌーイ氏は、2015年のフォーチュン誌の 「最もパワフルな女性リスト」で2位。ペプシCEO在任12年で売上8割アップを達成、健康・環境問題でも大きな成果をあげた人で、氏の講演テーマは 持続的成長とビジネス目標のバランスーー破壊的変革のかじ取り:社会経済コスト」でした。女性の大企業トップをが、このようなテーマで講演する時代の到来を、嬉しく、また誇らしく感じました。 

『変動の時代を、動員力で成功する』 “Mobilizing and succeeding in volatile times

 今回ご紹介する基調セッションのテーマです。直訳で「変動の時代を、動員力で成功する」 としましたが、内容的には 巨大変動の時代――非常時に機動力で成功する女性CEOのしなやかでスピーディな指導力 ですモビライジングという、戦時下での動員を意味する言葉を使っているのは、コロナ感染との闘いがまさしく戦争であり、制約あるリソース(資源・その企業が保持する強み)をフルに動員、つまり生かしながら、果敢にまた強力にリーダーシップを発揮したことを示すのにふさわしい言葉なのでしょう。

 

 リーダーシップとは人々のために希望を創造する こと: Walmart International CEO

 ウォルマート・インターナショナルのジュディス・マッケンナCEOは 2020を振り返り、 「厳しい対応が求められた。まず、コンタクトレスが米国で始まり、オンライン支払いやブレンデッド・ショッピング(ネットとリアルのミックス)、宅配は2週間かかっていたものを米国では 2 時間に、、、などなど国によって状況も異なった。行動は、ウォルマートのシンプルな5原則に従った。5原則とは、①何よりもアソシエイツ(従業員)をケアする、②店舗の安全確保と顧客に親切・人間的に振る舞うこと(小さな例だが、英国では配達の運転手が  “Happy to Chat.喜んでチャットしますよ” のバッジをつけ、顧客が質問しやすいよう対応した)。③サプライヤーを含むコミュニティへのケア、④毎日起こるあれこれの事柄への注力、そして同時に、⑤長期的事項へのフォーカスだった」と話しました。社員のウェルネスやメンタルヘルスを重視し、“It’s OK=大丈夫よ” プログラムも推進。リモート会議を子供が邪魔してもOK、気にしないで、だと。“We care” (気にかけている)ことを頻繁に伝えるなど、コミュニケーションに努力した。互いへの “信頼” が重要だった、といいます。

 未来について問われると、「2つの考え方がある。仕事は減る、と、もっと増える、の見方だ。楽観主義者の自分は、後者だ。そして働く人を未来へ向けて準備させる、つまり組織が個人に成長のチャンスを与えることが重要と考えている。ウォルマートの経営幹部のほとんどは時給雇いからキャリアを積み重ねてきた人たちで、これは世界的にも当てはまる」。「ウォルマートのような企業は、小売り以外のスキル開発を助けることが出来る。そうすれば将来、求人環境が変わっても、新たに登場する職業で自分のやりたい仕事に取り組む強固な基盤が出来る」、と。

 「全ての国(のウォルマート)が、今回初めてタウンホール(集会所)のようにつながり、より大きなコミュニティを創り、インスピレーションと希望を創造すること、を強調した。私はこれまで、〝人々のために希望を創造するといった仕事をやることになるとは、思ってもみなかったが、これこそがリーダーシップの本質だと、いま、考えている」、とのマッケンナCEOの言葉に、危機の中こそリーダーシップが輝くことを痛感します

                     ウォルマート・グローバル 社のマッケンナ氏(右)と 司会のAmex社マクニール氏(左)

大胆なアクション=CBD 市場に参入: The Vitamin Shoppe のシャロン・レイトCEO

 サプリメントやビタミン剤、健康食品の販売で全国に780店を展開する ザ・ビタミンショップは1977年創立の企業。 “あなたが目指すベストのあなたになるのをヘルプします” のスローガンで、店舗やサブスクリプションを通じて、人々のウェルネスに貢献する会社です。

 レイト氏は 2020は自宅フィットネス産業が急拡大した。コロナで顧客は信頼できるブランド志向を強めた。わが社は、製品の品質、ビタミン剤のエキスパート、業界をリードする革新的企業、などのブランド・イメージをもっており、これがコロナ下でも継続的支持につながった。 2020は、主要カテゴリーである、免疫力強化関連の、ビタミンC、D、亜鉛が伸び、2021へも継続しているが、加えて人々は、肉体的、精神的、感情的健康を求めていた。ストレス、睡眠、基礎的健康、スポーツ栄養、体重管理、解毒、そしてCBDだ」と述べ、大胆にCBDの提供を決めた経緯を話しました。 (CBDとは、カンナビジオールの略称で、カンナビス(大麻)から抽出される主要成分の一つ。他の主成分の通称 THC のように「ハイ」になることはなく、不安障害やうつ病や不眠などに効果があるとされる。アメリカでは2018年に医薬品に承認)。

 ウェルネス分野で最初の企業としてCBS市場参入の決断をした同社ですが、11月に自社ブランドでローンチするに先立ち、消費者調査をしました。その結果は、56%の人がコロナのストレス下で、リラックスし体調のバランスをとる方法を探しており、50 がCBD を取りたいと答えた、と述べています。顧客の要望に応えたアクションでした。マーサ・ステュアートとのパートナーも組みました。

 もう一つ氏が強調したのは、「顧客のいるところへ出向くこと。Meet Where customers are=店に来てもらえない中、顧客に近づく)ためのあらゆる手段を講じた。消費者直販を出来るだけ簡便でイージーにすることにも注力。 2020年の最も大きな収穫は、チームの、顧客が求めるものにあらゆる方法で対応する “レジリエンス(しなやかさ)” だった。これには感銘した」。 「人々は孤独になっている。 話をし、エンゲイジする機会を欲しがっている。そこで ザ・ビタミンショップがコミュニティ、言いかえれば Safe Heaven (安全な楽園)になった」 も、コロナ禍が人々に与えた精神的・心理的な変容を物語るものと、感じました。

ビタミンショップCEOのリート氏(右)と WWインターナショナルCEOのグロスマン氏(左)

コロナでの方向転換を、デジタル投資が助けてくれた: WW International ミンディ・グロスマンCEO

 「2020 が教えてくれたこと。それは何よりも、健康がこれまで以上に重要であることだった」が 開口一番のグロスマン氏の言葉でした。よりよい、より健康的な生活を送ることが、本当に重要な時代になったと。 

 業界でミンディ、と親しく呼ばれる氏は、ラルフローレン、ナイキなどで多彩なキャリアを積み、テレビショッピング大手 HSN の CEOとして同社の上場を果たしたあと、ウェルネスの世界を拡大したいと、2017年に、Weight Watchers社のトップに就任した、小売り業界のスター的なエグゼクティブです。ウェイト・ウォッチャーズ社は1963 年ニューヨークで主婦が創業した、その名の通りの「減量」を狙いとする商品やサービスを提供するフィットネスの会社でしたが、グロスマン氏はこれを、フィットネス、マインドセット、栄養、睡眠 の4つを柱とする “ウェルネス企業”へと発展させ、2018年には社名もWW International に変更しました。

 「2020年は、人気者のオープラ・ウインフリーと全米9都市ツアーを計画、強力なモメンタムでスタートしたのだが、予期せぬコロナで、計画中止。ピボット(方向転換)を余儀なくされた。これまでデジタル・トランスフォーメーションに投資をしてきたことが役立ち、ダイナミックな方向転換が出来た。チームはパーパスとパッションに導かれた形で素晴らしく動いてくれた。個人対応のウェルネス・ワークショップを、すべてバーチャルにし、全国 12か所で実施できるよう15000人のコーチを養成する体制を、6日間で作った。テクノロジーを駆使し、ウェルネスを達成する新しいエコシステムの構築が出来た。パンデミックがビジネス変容を加速してくれた、といえる。WWの4つの柱は、コミュニティの力で構築したものだ。」

 「1116日には “My WW+” を、食品がらみでないイノベーションの一つとして、AI と機械学習を利用し、完全にカスタマイズした、パーソナルでホリスティックな体験を、全メンバーに提供することにした。さらに2021は、新垂直型メンバーシップ、“Digital 360”をローンチ。 コーチング、コンテンツ、コネクティビティ、コミュニティ、のパワーを加えてより大きなパワーアップを図っている。新パーパスとして加えた “ヘルシー習慣= healthy habits for life”、 最近立ち上げた “WWファミリー” も、ジェイムス・コーデン(英国の俳優)をスポークスマンに起用して、顧客基盤の拡大に貢献。ウェルネスの民主化を願っており、経済的に困窮する人々10万人に無料会員の提供も行っている。」 そして最後に、「これらすべてを通じて、信頼できるブランドとして、人々の期待に応える」 と締めくくりました。

  これらの女性CEO登壇の司会をつとめた アメリカン・エキスプレスのグレンダ・マクニール氏は、同社が202010月に実施した全世界消費者調査で、回答者の70 がフィトネスを、 68 が肉体的健康だけでなくメンタル面での健康を重視すると答えている事実を紹介し、「よりよい、より健康的な生活を送ることが、本当に重要な時代になった」 ことを強調しました。 

 Life(命)と Livelihood(生活)が脅かされたコロナ・パンデミックの中で発揮された、人と生活に心を寄せる女性エグゼクティブのリーダーシップに拍手を送るとともに、日本の女性活躍の実態を悲しく思いました。元首相の 「文部省が女性を40%に、とうるさく言うから、、、。女性が入った会議は長くなる、、。(組織委の女性は)みんなわきまえておられる、、」 などの発言で、ジェンダーの問題が、日本社会にいかに根深くはびこっているかを、改めて痛感しました。日本の女性も奮起しなければなりません。                                                                                                                                           End